今日は漫画家の畑中純さんの個展、月男展に行く。畑中さん夫妻と歓談する。
作品はまんだら屋の良太の世界に異次元から月男が接近してきたような感覚。
震災があって深刻な打撃を受けたときに心の奥にある元型的なものが戸を叩いたのではないか。
そんなことを言うのも、最近秋山さと子氏の「占いとユング心理学」を読んだ影響である。
占いとは無意識と外界の接点であり、易経のなかには錬金術やグノーシスの宗教と同じように、ユングの言う元型的なイメージが豊富にある、という。
グノーシス派とは人間を誤ってこの世に落ちてきた異端児と考え、この世界を作ったのは邪悪なデミウルゴスで、人間には肉的、魂的、霊的な部分があり、魂的な部分で天使に等しく、霊的な部分で神を故郷にしているという。
この説明が私には存外判り易く、それだけでもこの本を買った甲斐があった。
ユングは心の現実に外界の現実が共鳴する、いわゆるシンクロニシティを唱えていたので、占いにも深い関心を寄せていた、とりわけ易経を外界と心の接点として重要視していたという。
引き続き、秋山さと子氏のユングの説を読みふける。
元型には老賢者、太母、始原児、いたずら者、影、アニムスとアニマなどがあり、王と女王の結合、
永遠の生命を持つ黄金、四元性、曼荼羅などが意識の奥にある自己の統一の象徴になるという。
ユングは人は年とともにより成熟した自分に近づいて行くと言い、このことを個性化の過程と呼んだ。
個性化の過程の途中で折り目折り目に単なる偶然には思えない、意味のある偶然の一致がしばしば起こる、という。
夢や直観が現実を引き寄せるということもあり、これをシンクロニシティと言う。
人はこの事実を観察して、自分の自己の深化の度合いを考えるきっかけにするとよいという。
私は行き詰ったとき、しばしば、ユング心理学の書を手に取る。そうすると、自分の心を見詰めるよい機会になる。
あるとない意識と影は繋がって月男さえ見えるこの頃