超人日記・俳句

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#俳句・川柳ブログ 

<span itemprop="headline">映画「ピロスマニ」を見て</span>

2016-02-19 21:59:52 | 無題

夜、映画「ピロスマニ」を見る。
何をやっても成功せず、乳製品売りの商売にも失敗し、結婚にも失敗し、素朴な動物画や人物画、風景画を町中の居酒屋の壁に描いて生計を立て、一時は名が売れたがこき下ろされて失意の中で放浪の生涯を終えたグルジアの画家ニコ・ピロスマニ。
その悲惨な一生を絵画的構図をふんだんに用いて、暗いトーンの沈んだ色調で淡々と描いた伝記映画の傑作。

絵のモチーフとなった風景が数多く出てくる。私はこの静かな映画が好きだ。
見ていられないほど身を持ち崩し、酒に溺れた悲惨なピロスマニだが、直向きに素朴な絵を描き続けた。
画壇に背を向けて自分の描きたい絵を描き続ける困難さ。
そこのところが泣ける。
ピロスマニの絵が動いているような絵画的情景が垣間見れるのは嬉しいところだ。
灰色の背広を着て、黒の山高帽を被り、画板を片手に抱えて町中を足早に歩き続けるピロスマニの姿が印象的。

絵を生み出したグルジアの風俗、風習、景色、家畜の群れ、食事風景、復活祭の様子などが見て取ることのできる貴重な映画である。
この映画は基本的にリアリズムだが、絵画的風景を生かしたリアリズムという点で高い美意識が窺える。
町を歩き続けるピロスマニの放浪の一生を淡々と映し続ける地味だが心に迫る映画である。

個人的にはピロスマニの絵が大好きで昔この映画を見たとき、その絵画的な映像美がとても印象的で、また見たいと長年願い続けてきた映画である。
人生は孤独で見出される人は数少ない。それでも自分の作風に忠実であったニコ・ピロスマニの堅い意志に敬意の念を感じる。
素朴で地味なピロスマニの絵に興味を持った人には是非見てもらいたい、私のお勧めの三つ星の名作映像作品である。

足早に町を歩いて絵を残す画家の瞳に映る情景



コメント
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