〇恋びとはもぐらのようにぬれている
抒情性にあふれた句、とある。む しろ、官能性が際立っている。
〇南国のこの早熟の青貝よ
映像的な初夏の句、とある。これも異性を思わす官能的な句。
〇春宵のきんいろの鳥 瞳に棲める
なんと日本画的な映像だろう。外界が目に住んでいる、というのは意表を突く。
〇貝殻の青き肌に雨くるよ
赤黄男は外界を官能的にみる感性に優れていたようだ。
〇絶壁へ冬の落日吹きよせられ
何とも、破壊的な句だ。日本的美意識に、意図的に緊迫感が向けられている。
〇賑やかなカルタの裏のさみしい絵
この句には、自画像という副題が添えてある。明るい世界に馴染めない自分がカルタに込められる。
〇黄昏は枯れ木が抱いている竪琴
竪琴には、ハープとルビが振ってある。枯れ木の想像上の音を高音の竪琴に例えている。夢ある句。
〇少年の雲白ければむく蜜柑
純真な少年の無垢さに、なぜか恥じらいが感じられる句。そう受け取れるのが、俳句の妙。
〇美しきネオンのなかに失職せり
他人事ではない事態が、耽美的にまとめられていて、救われる。
〇一本のマッチをすれば湖は霧
寺山が、マッチする束の間海に霧深し身捨つるほどの祖国はありや、と真似した句。両方いい。
抒情性にあふれた句、とある。む しろ、官能性が際立っている。
〇南国のこの早熟の青貝よ
映像的な初夏の句、とある。これも異性を思わす官能的な句。
〇春宵のきんいろの鳥 瞳に棲める
なんと日本画的な映像だろう。外界が目に住んでいる、というのは意表を突く。
〇貝殻の青き肌に雨くるよ
赤黄男は外界を官能的にみる感性に優れていたようだ。
〇絶壁へ冬の落日吹きよせられ
何とも、破壊的な句だ。日本的美意識に、意図的に緊迫感が向けられている。
〇賑やかなカルタの裏のさみしい絵
この句には、自画像という副題が添えてある。明るい世界に馴染めない自分がカルタに込められる。
〇黄昏は枯れ木が抱いている竪琴
竪琴には、ハープとルビが振ってある。枯れ木の想像上の音を高音の竪琴に例えている。夢ある句。
〇少年の雲白ければむく蜜柑
純真な少年の無垢さに、なぜか恥じらいが感じられる句。そう受け取れるのが、俳句の妙。
〇美しきネオンのなかに失職せり
他人事ではない事態が、耽美的にまとめられていて、救われる。
〇一本のマッチをすれば湖は霧
寺山が、マッチする束の間海に霧深し身捨つるほどの祖国はありや、と真似した句。両方いい。