〇たつた一人になり切って夕空
なり切って、というのは、なり尽くして、ということ。夕空と言い切っていて、清々しい。
〇石榴が口をあけたたはけた恋だ
柘榴の実がぱっかりと開く。果肉の赤が妙に生々しい。そんな恋を、ばっさり投げやっている。
〇潮満ち切ってなくはひぐらし
一日を生き切って、見ていた海も様変わりする。そこに今日も日暮らしがなきはじめた。心満つ。
〇もやの中水音逢ひに行くなり
もやに包まれて何も見えない中、水音だけが聞こえ、人に「逢いに」行くのだ。思いつめた心境。
〇うそをついたやうな昼の月がある
昼見る月は、どこか非現実的だ。それを、うそをついたやうな、と平易に言うおもしろさ。
〇わが顔ぶらさげてあやまりにゆく
酒で失態をしでかした翌日、お詫びの品を持って謝るところ、わが顔ぶらさげてと言うおかしさ。
〇水車まはつて居る山路にかかる
あぜ道を黙々と歩いていると、水車が回る眺めに出る。ちょうど山へ続く傾斜の始まりだ。
〇あけがたとろりとした時の夢であつたよ
明け方、夢うつつのまま、まどろんでいると、また夢をみた。ウトウトをとろりとしたと言う妙。
〇渚白い足出し
広い浜辺。そこに白い足を出す。誰の足かは書いてない。束の間の開放感が伝わってくる。
なり切って、というのは、なり尽くして、ということ。夕空と言い切っていて、清々しい。
〇石榴が口をあけたたはけた恋だ
柘榴の実がぱっかりと開く。果肉の赤が妙に生々しい。そんな恋を、ばっさり投げやっている。
〇潮満ち切ってなくはひぐらし
一日を生き切って、見ていた海も様変わりする。そこに今日も日暮らしがなきはじめた。心満つ。
〇もやの中水音逢ひに行くなり
もやに包まれて何も見えない中、水音だけが聞こえ、人に「逢いに」行くのだ。思いつめた心境。
〇うそをついたやうな昼の月がある
昼見る月は、どこか非現実的だ。それを、うそをついたやうな、と平易に言うおもしろさ。
〇わが顔ぶらさげてあやまりにゆく
酒で失態をしでかした翌日、お詫びの品を持って謝るところ、わが顔ぶらさげてと言うおかしさ。
〇水車まはつて居る山路にかかる
あぜ道を黙々と歩いていると、水車が回る眺めに出る。ちょうど山へ続く傾斜の始まりだ。
〇あけがたとろりとした時の夢であつたよ
明け方、夢うつつのまま、まどろんでいると、また夢をみた。ウトウトをとろりとしたと言う妙。
〇渚白い足出し
広い浜辺。そこに白い足を出す。誰の足かは書いてない。束の間の開放感が伝わってくる。