超人日記・作文

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

放哉の自由律俳句を読む

2023-06-18 05:14:33 | 無題
〇たつた一人になり切って夕空
なり切って、というのは、なり尽くして、ということ。夕空と言い切っていて、清々しい。
〇石榴が口をあけたたはけた恋だ
柘榴の実がぱっかりと開く。果肉の赤が妙に生々しい。そんな恋を、ばっさり投げやっている。
〇潮満ち切ってなくはひぐらし
一日を生き切って、見ていた海も様変わりする。そこに今日も日暮らしがなきはじめた。心満つ。
〇もやの中水音逢ひに行くなり
もやに包まれて何も見えない中、水音だけが聞こえ、人に「逢いに」行くのだ。思いつめた心境。
〇うそをついたやうな昼の月がある
昼見る月は、どこか非現実的だ。それを、うそをついたやうな、と平易に言うおもしろさ。
〇わが顔ぶらさげてあやまりにゆく
酒で失態をしでかした翌日、お詫びの品を持って謝るところ、わが顔ぶらさげてと言うおかしさ。
〇水車まはつて居る山路にかかる
あぜ道を黙々と歩いていると、水車が回る眺めに出る。ちょうど山へ続く傾斜の始まりだ。
〇あけがたとろりとした時の夢であつたよ
明け方、夢うつつのまま、まどろんでいると、また夢をみた。ウトウトをとろりとしたと言う妙。
〇渚白い足出し
広い浜辺。そこに白い足を出す。誰の足かは書いてない。束の間の開放感が伝わってくる。
コメント
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