オーマンディのシベリウス箱とチャイコフスキー箱を聞く。
シベリウス箱は3番6番がないが、フィンランディアやヴァイオリン協奏曲は
複数回収録されている。
このところオーマンディ復興期で多くの音源がソニーで再発売されている。
私はベートーヴェン全集を聞いて随分流麗なベートーヴェンだなと感心し
その後そのままになっていた。
だが私のクラ友がオーマンディのシベリウスとか何気にいいよと言っていたので
オーマンディのシベリウスとチャイコフスキーを聞いている。
友人はシベリウスの5番の終わりは打楽器のずれがなくて胸がすっとする
と言っていた。聞いてみると確かにふつうずれているはずの打楽器が
揃っている。
だが一層驚いたのがオーマンディのチャイコフスキー箱の徹底ぶりだ。
未完成補筆版の幻の第七番まで入っている。
1812年、マンフレッド、ピアノ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲、
バレエ音楽の抜粋までちゃんと入っている。
ここまで徹底してチャイコをコンプリートした廉価箱を私は知らない。
演奏はやはり流麗、芳醇で堂々とした鳴りっぷりだ。
アンセルメもそうだが演奏のエンターテインな要素をよくぞ
ここまで追求したものだ。
ストコフスキーもそうらしいがオーマンディのプロフェッショナルな
サービス精神には脱帽である。
流麗な音の厚みに驚いて復興された音源に唸る
新宿で待ち合わせて、クラ友とインキネンの大地の歌の演奏会に行く。
新宿のスタバで軽食を食べて、コーヒーを飲んでクラシック雑談する。
友人はジュゼッペ・シノーポリで大地の歌の予習をして来た、と言う。
私はヴァーツラフ・ノイマンで大地の歌を聞いてきたと言う。
友人はユーチューブでシベリウスの歴史的情景をいくつか見てきたと言う。
友人はギレリスのベートーヴェン・ピアノソナタ集は何曲か聞いたことがある
けどしみじみ系で絶対いいよと言う。ストコフスキー・ボックスはお得だけど
それより好きな曲を選んで聞き比べるといいと言う。大地の歌の最後は
永遠の別れを歌っているというのが定説だと言う。
6時20分頃六本木一丁目から歩いてサントリーホールに着く。
ピエタリ・インキネン登場。期待の若手指揮者。
シベリウスの歴史的情景はフィンランディアの影響がある曲。
ペルシャザールの饗宴は東洋的な響きがある。ともに籠もったような
鬱蒼とした空気感あるシベリウスらしい小品。インキネンは元気よく
大きな身振りできびきび動く指揮ぶりである。
15分休憩を挟んでマーラーの大地の歌。大地の歌は都合により日本フィルと
男声二人の構成。録音と違って歌声をマイクで拾わないので、管弦楽が
大きく聞こえる。実演で大地の歌を聞いたのは初めてだが、予想以上に
交響曲的な曲に思えた。マーラーらしい賑やかな書法で多彩な楽器を
交えて交響的に演奏される。楽器の粒立ちがよく立体的によく響く。
インキネンは爆演系ではないが盛り上げるところは思い切って鳴らす。
全体的に破綻なくまとまっていて、時に優美、時に寂寥感も交える。
大地の歌の終曲は20分に及ぶ管弦楽と声楽の競演。
インキネンはうまいこと消え入るように終わった。
静寂の後大拍手。一階15列のよく見える座り易い席で大地の歌に胸一杯である。
大地にも春には花が咲くだろう私に遠い果てのない世に