荒川三歩

東京下町を自転車で散策しています。

木枯し1号が吹いた日の「矢切の渡し」

2024年11月08日 | 散文

今日はやってないだろうと思いながら来ました。「矢切の渡し」です。あれっ?桟橋に至る入り口に黄昏れた男が居ます。たぶん、以前にも会った船頭です。「やってるの?」「やってるよ。乗る?」「乗らない。風が強いし、川風は寒そうだし、今日は写真を撮るだけ」

「旗が見えなかったので今日は休航だと思ったよ。これじゃあ見えないよ。旗竿がこんなに短くなって、風が強いからねえ。取り替えたら」「ああ」不機嫌です。前に会った時も客が来なくて不機嫌でした。

桟橋の写真を撮りながら話します。「帝釈天の参道も人は居ないよ」「知ってる」。前回も同じ会話をしました。

午後の陽が射して、木洩れ陽が好い感じです。見た目は穏やかな天気ですが、冷たい木枯し1号が吹いている江戸川の「矢切の渡し」です。

空は青いけど船頭は手持ち無沙汰です。船頭の背中が寂しいです。「♪連れて逃げてよ。ついておいでよ」


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