金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【猫】 『まいにち 養老先生、ときどき まる』の「まる」が亡くなって‥

2021-03-19 07:14:58 | 

 昨年の12月21日の早朝、養老先生の愛猫「まる」が18歳で亡くなりました。その前後の様子を、NHKの番組『まいにち 養老先生、ときどき まる スペシャル編』の中で紹介されました。

 この番組の中では、養老先生と並ぶ主役であった、まる。すでに18歳と高齢であり、また病気がちだったまるではありますが、そのまるが亡くなった衝撃は想像以上で、そのショックの大きさは、多くの視聴者にとっても計り知れないものでした。

 養老先生曰く、「『喪失感』という言葉では表せない。言葉にしようがない。ただ、まるがいない。それだけ‥」

 養老先生は、5歳の時にお父上を亡くしてから、長年「死」というものを身近に意識しながら、そして客観的に捉えながら、ご自身の解剖学の研究の中でも、また様々な著書の中でも、「生きること」「死ぬこと」につき、冷静な見方や考え方を世に示してこられた知の巨人でいらっしゃいます。

 その養老先生が、「まるの死」について、表わす言葉を失っているのです。お互いが、お互いの存在を確認しながら、毎日過ごしてきた養老先生とまる。そのまるが、ある日、目の前から突如消えてしまい、普段、まるが日向ぼっこをしていたはずの縁側の隅を、居間からジッと見つめ続ける養老先生。

 ただ、まるがいないことを、確認するために見つめ続けているような‥。いや、常に思考を止めない養老先生のことですから、「なぜ、まるはわが家へ来たのだろう」「何の縁があって、自分とまるは繋がったのだろう」「なぜか、まるは、生きていた頃も、死んだあとも、同じように自分の生きる風景の中に映り続ける」「死とは何だろう。生きるとは何だろう」などと、歴史上、人類が抱えている最も大きなテーマを、あらためて鋭く見つめ直しているのかもしれません。

 そうやって、まるを、永遠に生かすことにしたのですね、養老先生。

 


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