本を読んだ。
★世界地図の下書き
著者:朝井リョウ
出版社:集英社 (2013/7/5)
朝井さんの繊細な視点に惹かれて、小説は三冊目。
今回の物語は理想郷にはまりすぎたきらいがする。
子どもを奇麗に描きすぎる。
児童養護施設の子どもたちを描いている。というより、この施設に関わる大人の人々の希望と願いを、子どもの姿に託して描いていると言い換えたほうがいい。
インタビューを読むと、
施設の職員への取材は周到にやっているが、子どもへの取材、観察は敢えてしていないようだ。朝井さんは、《無責任な関わりを避けたい》ということだったと書いている。そのことの意味は痛いくらいよく解る。
朝井さんは、子どもたちの現実を見つめたが故に、作家として《希望と願い》を描かざるを得なかった。そうせざるをえなかったということだと思う。子どもの心の深い闇に、不遠慮に入り込むことをためらった。だからちょっと奇麗になりすぎた。
童話のような世界ではある。中学生や高校生はどのような読み方をするのだろうか。