本を読んだ。
★フラッタ・リンツ・ライフ
著者:森 博嗣
出版社: 中央公論新社
「スカイ・クロラ」シリーズ4冊目。
一人称で語られる「僕の視点」は、「スカイ・クロラ」ではカンナミ。
「ナ・バ・テア」、「ダウン・ツ・ヘヴン」はクサナギ。
そして、この「フラッタ・リンツ・ライフ」ではクリタ。
この物語の主人公たちは、薬害によって生じた、十代の子どものまま成長することがない「キルドレ」である。老いることなく時間を過ごすことになる彼らの視点は、余計なものが刻々とそぎ落とされ、澄んだ青空のごとくよりピュアーな世界に注がれる。生きることにとても誠実であり、時に詩的で、時に祈りにも似た視点である。
我々が「それこそ人生」というべき「この世のしがらみ」は、彼らにとっては未来への展望をまったく開くことのできないくだらない世界。より高く、より遠く、そしてより長く空を飛びながら、敵と戦うことによってのみ刹那的な生のビートを刻む。そして空を飛ぶ度により軽くより純度を増してゆく。個体として死に近づいていくようだ。
作者である森さんは、生きることを描きたいのか、それとも死を描きたいのか。