駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

煙草の煙

2011年10月03日 | 診療

 肺癌の勉強会で新たに知ったこと。

 喫煙と肺癌の関係は明白なのだが、少しずつ修正がされている。男性肺癌と喫煙には明白な関係があり、一度も煙草を吸ったことのない男は肺癌になりにくい。ところが女性の場合は肺癌のうちの腺癌の発症が多いせいか一度も煙草を吸ったことがない女性にもかなり肺癌(腺癌)が発生してくる。それにはEGFRという遺伝子変異がかかわっていることが多い(このあたりは知っていた)。

 私は生まれてから今までに百本ほどしか煙草を吸ったことがない(若気の至り)ので、非喫煙者かと思ってたが、mild smokerと分類されるらしく、一度も煙草を吸ったことがない人に比して肺癌の危険率が数倍高くなると説明された。「えー、一度も煙草を吸ったことのない男なんていないでしょう」。と抗議をしたら、「えー、いや女性には結構居るんですよ」。というわかったようなわかりにくい返事だった。「だったら受動喫煙はどうなんですか」。とK先生。「それも、問題なんです」。と講師。どうも旦那の煙に巻かれている女性は災難らしい。

 いままでは毎日吸う煙草の本数と喫煙年数を掛けた数字が大きいほど、肺癌のリスクが高まると理解していたが、それよりも若い時の喫煙が問題なのですとの話だった。十代二十代の喫煙は祟りが大きいらしい。

 高齢で吸い始めても、そういう酔狂な人は稀だろうが、本人にはさほど大きな悪影響はないらしい、老い先長くないせいもありそうだが。

 若い人の喫煙をやめさせるのが第一線の医師の務めですと強調された。了解。

コメント
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