駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

世に吹く風は家にも

2013年07月03日 | 世の中

            

 六月は患者数が例年より5%ほど少なかった。この月次報告を見て、疲れが取れにくく仕事が遅くなったようで、いよいよ焼きが回って来たかなと懸念していた。というのは先日会った元同僚で小児科医院を開業しているM先生が、「一年くらい前から患者さんが急に減って、暇で困っていますよ」と言われ、「えっ」と驚くと、「私が駄目なんですね」と思いがけぬ弱気な言葉を口にされていたからだ。

 ところが、昨日来た薬卸の話では、六月は何処の医療機関も患者数が少なかったようで、巷では受診抑制があったのではないかと噂されているとの事であった。正確な理由は不明だが、当院だけの現象ではなく市内全域の現象だったようで、どうも私の落ち度ではなかったらしい。市の中心部というか、医院の競合地域では苛立っている先生も多く、MR(製薬メーカーの薬品情報提供者)が訪問しても「なんだ、又薬屋か」とけんもほろろで、訪問しにくくて困っているようですよとのことだった。

 MRにとっては訪問できないと仕事にならず、本当に困っているらしい。尤も受診患者よりも訪問MRの数の方が多く、しかも患者が減っているのに薬を買ってくればかりでは苛立つ先生の気持ちも分かる。

 患者数の多い少ないは個々の医院で多少の違いはあっても、基調として全体のうねりがあって、その流れに乗って変化しているらしい。この現象には以前からうっすらと気が付いており、再確認した。恐らく他業種にも同じような全体としての顧客数や売り上げの変化があるのだろうと思う。

 それにしてもなんでこの時期に受診抑制と首を傾げたことだ。

 

コメント
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