駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

暑くても寒くても

2013年07月20日 | 小験

                   

 暑くても寒くても降っても照っても、毎朝八時に医院の玄関を開け診療してきた。我ながらよく働くと感心しているが、さすがにこの頃は、ちょっと疲れてきた。

 実は暑いのも寒いのも嫌いではない。と言うより十二月一月の寒さや七月八月の暑さは大変と感じながらも好きだ。尤も、くどいのは苦手で二月の寒さ九月の暑さは御免こうむりたい。

 診察する時、必ずと言っていいほど時候の挨拶をする。

 「毎日暑くて大変ですね」。

 「寒くなりましたね」。

 殆どの人は相槌を打つのだが、中に

 「私は暑いのは平気なんです」。

 「俺は寒いのは平気、暑いのは駄目だけど」。

 と答えられる方が二十人に一人くらいおられる。

 まあ、人様々だから、そんなものかなと思いながら「ああ、そうですか」などとお返事をする。どうも暑いのは平気は男にも女にも居られるようだが、寒いのは平気というのは男が殆どで女の人は記憶がない。その変わり暑いのも寒いのも駄目という女性はいらっしゃる。暑いのも寒いのも駄目という男は少ない。

 まあ、大酒飲みで甘いのは嫌いかと思っていると「私は饅頭で酒が飲めます」などという御仁もおられる。女性にもそうした方がおられると思うが、自慢にならないと思われるのだろう、黙っておられるので分からない。

 物事の得手不得手好悪というのには誠に人さまざまで、中にはあれもこれもと守備範囲の広い方が居られる、あちらの方にも居られると聞く。ただ、どういうわけか暑いのも平気寒いのも平気という方はあまり居られないようだ。暑いときは寒いのがいい、寒い時は暑いのがいいという軟弱な人は数多い。

 ちなみに今日は「今朝はちょっと涼しいですね」と申し上げることになりそうだ、今のところ。

コメント
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