オムライスが復権して十年以上になると思うが、ハヤシライスも復活してそこそこ手堅い支持を受けているようだ。ハヤシライスの出自には諸説があるようだが、その一つに丸善の創業者早矢仕有的が考案したというのがあり、丸善で今も食べることが出来る(はずだ)。屋上にレストランがあった頃から三回ほど食べたことがある。茶色と言うよりは焦げ茶色の独特の色合いで、かなりのボリュームがある。なかなか美味しいが一番旨いとは言わない。
ハヤシライスにはビーフシチュー系統と丸善式の野菜をを焦がした黒に近い色で苦みを含んだ系統があるようだ。少し前に書いたが、時々行くカフェの若い腕の良いコックが今月一杯で辞めてしまうので、ハヤシライスを食べに行ってきた。ここのハヤシは黒に近い茶色で丸善系だ。少し苦くコクがあり、タマネギの歯ごたえがあり、丸善よりも私は旨いと思う。なぜタマネギに歯ごたえがあるかと言えば、ルーとは別に中の具は供する前に新たに炒めるからだ。これほどの腕があるのに、収入の安定した社員食堂に移るというから世の中は厳しいというか難しい。よくあることだが職人には商才に欠けた人が多い。しばしば奥さんに商才があることがあるのだが、彼の場合は逆に不安定な収入をなじられた?ようで残念だ。もう少し私が若く元気であればプロモートしてやったのにとも思ったりするのだが、私の場合も家内の許可が下りないだろう。