久しぶりに月餅を戴いた。四十年前よりやや小ぶりになった感じがしたのは気のせいか。濃いめのお茶で戴くと、まったりとややしつこい餡が美味しい。
実はこの月餅は一週間ほど前にブログで紹介した元パイロットM爺さんのお嬢さんがわざわざ東京から先生にと送ってくださったものだ。Mさん問わず語りに単独飛行を楽しんだ話や優秀なお孫さんの話をされたのだが、たかだか十五分あまりでも話を聞いて貰えたのが嬉しかったとみえ、たまたま帰省されていた娘さん(優秀な孫達のお母さん)に、そのことを話されたらしい。娘として嬉しく母親として誇らしかったらしく、月餅をいただくことになった。
このことからM爺さんが家族に大切に思われ大事にされているのがわかる。例外もあるのだが、親子はどこか似ている。
折角良い話の後で申し訳ないが、問わず語りではなく「先生聞いてください」と後ろに控えた患者さんをものともせず、三十分も親子の諍いを聞かされることもある。娘に厳しく注意された母親(85才)が「殺される」と警察を呼んだため、今日は何とかして鎮静剤を処方して貰おうと娘もやってきたのだが、何かを察した母親が私は惚けてなんかいませんとまくし立てる。娘さんは「あんたの言うことを聞いていたらこっちが死んでしまう」と負けていない。確かに母親は認知のテストの点数は悪くないのだが、どうも被害的なところが目立つし、同じ話を何度も繰り返す。何とかなだめて鎮静効果のある漢方薬を少量飲んで貰うことで、取り敢えずお引き取りを願った。申し訳ないが、どっちもどっちという感想が頭をかすめた。