医事新法に本庶佑先生の記者会見の記事が掲載されている。「インパクトファクターによる論文評価は極めてよくない」、「国民皆保険は既に崩壊している」、「HPVワクチン接種率低迷は社会的損失」など、本当にその通りのことを述べられている。しかし誠にその通りのことでも、実は中々言えない言いにくいことで、正直申し上げてノーベル賞をお取りになったから公言でき、広く報道されている側面があると思う。今の日本には指摘された問題を内容そのもので受け止め論じることをしない風潮があると感じている。
若い女性の子宮頸がんを防ぐHPVワクチン接種が萎んでしまった経緯と理由をきちんと論じ分析すれば、平成日本の問題点が浮かび挙がってくるはずだ。ワクチンの副反応がマスコミでセンセーショナルに報道されたために、有益な効果がかき消されてしまった。自分で情報を集め熟慮することなく、右に倣え事なかれと、非常に稀な副反応を恐れ将来の命に関わる福音を捨てている。厚労省も副反応の責任を回避したいので?、流れに抗してワクチン接種を勧めることを止めてしまった。勿論、それが全く間違いだと簡単には言えないと思うが、一番の問題は広範な議論と科学的な検討がないがしろにされたことだ。
尤も、こうした感情で短絡的に反応するのは日本だけでなく現在の世界的な傾向かもしれない。嫌な人好かん野郎の言うことだからと問答無用で反対しているように見える動きがある。溢れる情報で判断力が麻痺してきているのかも知れない。