人には誰しも内面と外面がある。中には殆ど変わらない人と殆ど別人の人が居る。市中の内科医は患者さんを十五年二十年と長期にわたって診療するし、家族ぐるみで診ることも多いので、時々予想外の内面を見せられて驚かされることがある。節分では鬼は外福は内と豆を蒔くが、外は好人物、内は鬼親父は結構あるパターンだ。勿論女性でも変わる方は居られるが暴力は少ない。まあ、お化粧は上手でもお掃除は苦手という方は居られ、往診してびっくりということはたまにある。
昔から変わらず飲む打つ趣味が絡んだ豹変が多いようだ。尤もこうした話は医療の守備範囲を越えるので話を聞いてあげて、問題があるようなら地域包括や家族に連絡することもある。警察は忙しいし、事件性がないと動かないので仲裁はしてくれない。重要な点は必ず双方の話を聞くことだ。先日も普段は穏やかなUさんが手首と脛に打ち傷を作り来院し、家内と息子に殴られた、家庭内暴力だと訴えられた。地域包括に連絡したところ、Uさんが競輪に生活費を持ち出すので大喧嘩になったということで、家族会議を開いて一件落着?となったと報告を受けた。亭主の好きな赤烏帽子も度が過ぎると揉めることになる。男には何かに凝る人達が居て、家が傾くほど古本ワインオーディオ機器を買ったり、あるいは家族そっちのけで釣りや囲碁将棋という人が居るようだ。人さまざまで、争いにならなければ良いのだろうと思うが。私も趣味が多いのでできるだけ妻も巻き込むようにしている。