駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

感覚は自然に調節されてしまう

2015年02月08日 | 小考

               

 往診にゆくと裏庭に接して電車の線路が走っているお宅がある。診察中に電車が通ることがあり、ちょっと聴診の邪魔になる。手を休め、うるさくないですかと聞くと「いいえ、慣れましたから」とそよ風のように感じている様子。慣れると人間の感覚は感度を下げるというか鈍化して気にしなくなるものらしい。確かに五感を刺激、否第六感までも刺激する情報が溢れているわけで、毎日何十回も通る電車の音など予測が出来、わかっているから気にならなくなるのだ。

 勿論、特別長い車両とか、異常に遅い走行などいつもと違えばあれっと気にとめるのだろう。予測できるいつもの刺激が鈍化するのと逆だが予測できないものは予測しなくなるという現象もある。例えばそれは来院患者数で雨ガ降れば少ないとか連休明けは多いとか大まかな法則はあるが、それでも外れることが多い。そのためにこの頃は明日は患者が多いだろうなあとか少ないだろうなあと殆ど考えなくなった。

 どうも人間は拍子抜けを嫌うらしい。雨でも患者さんが多い時もある。そんなものと自然受け流すようになった。こうした人間の感覚は、色々研究されているはずだが、大学の研究室よりも広告販売などの前線で経験的に気付かれ応用されている気がする。

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THE SOONER THE BETTER

2015年02月07日 | 町医者診言

              

 今朝は小鳥がピーチクと騒がしかった。春が来ると騒いでいる様に聞こえた。

 もう十年、高血圧と脂質異常症の薬を飲んでいる。おかげで血圧も脂質も正常域にあり、母の享年を越えることが出来た。両親とも高血圧症だったのだが、私は五十五才くらいまでは中性脂肪は高かったが、血圧は正常で自分は大丈夫なのだと思っていた。五十七、八才の頃、何の気なしに血圧を測定したら140/90くらいでいつもより高めだった。あれちょっと高いと二三週間測定してみるとやはり140/90前後で微妙な値が出た。高血圧が専門の畏友E君にどんなものかねえと、様子を見ればいいですよという答えを期待して聞いたら、「先生、本格的に高くなる前に治療しなければ駄目じゃないですか」とたしなめられ、早速降圧剤を開始したのだった。

 重大なことが起きる前に早期に芽を摘むことが如何に大切か我々は分かっていても中々出来ない。今度の和歌山の事件、後から妙な振る舞いの男が居たとの情報が多数寄せられているようだ。田舎だから目立っただろうに、田舎だから騒ぎにしたくないという抑制が掛かったのだろうか。

 大事件や雪崩が起きる前に防ぐことが如何に大切か、そして実際に行動しないと駄目だということを教えられる事件が続いている。勿論、病気、事故や事件だけでなく政治外交の世界にも同じ事が言えるだろう。 

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冷たい手で

2015年02月06日 | 小考

               

 昔からそうだったのではない気がするが、この数年私の手はこの時期に冷たくなる。患者さんを触診する時、冷たくて申し訳ありませんと断らねばならない。

 「いいえ」と普通の患者さんは良いのだが、「こら、冷たい」と撥ね除ける認知症の婆さんの場合は苦労する。はっきり言って診察にならない。

 実は家内の手も冷たいので、最近は滅多に握ることもないのだが余り困らない。出会った頃はお互い温かい手をしていたような気がする。年を取って血流が悪くなったのであろうか。この分だと脳の方の血流も大分悪くなっていそうだ。

 この頃、植物男子というか異性との接触に興味のない若い男性が増えているようなことが書いてある。元若者の私には理解出来ない感覚だが、なんだか淋しい世界のような気がする。触れあう指先に電気が走るなどという現象は昔の物語になりつつあるのだろうか。悩まされた情動だが、それはあらゆるものを生み出す力でもあったと思う。

 夕方のニュースで、少子化対策に凍結卵子と報道されていた。老兵は何だか違うと呟きたくなる。

 

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ミルコの毛にまつわる話を読む

2015年02月05日 | 

             

 書評で褒めてあったので、山口ミルコという人の「毛のない生活」と「毛の力」を読んでみた。あっという間に読めてしまう。

 乳がん治療体験が正直に独特なタッチで書かれている。闘病本を読まないので、こうした展開がよくあるものかどうか知らないが、著者の感覚と個性が際だっており、内容よりも、そちらの方に目が行ってしまった。人間は命の危険に晒されるとそうなる部分もあるのだろうが、科学的でも合理的でもなく感覚的に行動してゆくのに驚かされた。勿論、ご本人の中ではそうではなく、私の感想は筋違いと言われるだろう。

 自分の誤読かも知れないが、こうした衝動的で感覚的なバイタリティ溢れる女性が世の中を動かしているのかもしれない。失礼かも知れないが、この方が編集者だったというのに複雑な気がした。尤も、私の方がずれていて、ミルコさんの方が中央に居るのかもしれない。

 どうもあまり褒めていない?ような感想なので、食指が動くかどうか分からないが新しい視点を与えられる本なのは確かだ。

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アギーレありがとう

2015年02月04日 | スポーツ

             

 当初の予想通りアギーレが解任になった。惜しいことに、ここぞを決められない日本の悪い癖が出てUAEに負け、アジアカップが花道とはならなかった。ブラジル戦ではどうなることかと思ったが、ヨルダン戦ではザックとはまた違う能力を見せて期待を持たせてくれた。残念だが、優れた手腕を見せ始めていても、中断を余儀なくされる立場となっては、退いて貰うしかない。

 アギーレ告訴をサッカー協会の大失敗のように騒ぎ責め立てる人達がいるが、協会は気にすることはない。彼等は本当のサッカーファンではないからだ。粛々と次の監督を選んでほしい。

 なぜ人が躓くとよってたかって叩こうとする人が溢れ出てくるのだろう。余程、日頃鬱憤が溜まっているらしい。日本サッカー協会は反省の言葉を口にしている。失敗と反省で人は成長すると歴史が教えている。叩く人達に申し上げたい、蛙の面に水、鉄面皮の権力者をこそ叩いて戴きたい。

 先のブログに書いたように日本人が良いのではないか。長谷川健太を推しておいた。目に留めて戴けただろうか。残念ながら、国外の監督には詳しくない。組織的で日本に合うドイツ人ではどうかと思う。

 私はにわかサッカーファンではない。六十年前からサッカーに親しんできた。かの有名なクラマーさんや長沼さんのコーチを受けたことがあり、かっては迷選手だった。岡田武史は実績があるし、長谷川健太も優れた手腕を見せた。岡田さんは固辞するだろうし又岡田かの声もあろう、フォワード出身で昨年実績を残した長谷川健太が浮かび上がる。

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