夢のあと

釣りには夢があります。夢を釣っていると言っても過言ではありません。よって、ここに掲載する総ては僕の夢のあとです。

明治22年頃の毛鉤

2012年10月11日 16時34分07秒 | 渓流釣り
普通、テンカラではウイングの付いた毛鉤は使いません。それは伝承毛鉤のほとんどにウイングは付いていないからだと思います。
 以前、沢山の伝承毛鉤を見た事は前スレで書きましたが、その時の一つに大きなカケスの羽根で作られたウイングが付けられた毛鉤を見ました。
 伝承毛鉤はその使い手の工夫が凝縮され、加えて無駄は一切削除されています。その中にウイングがあるのには驚きました。
 で、画像の毛鉤は『釣鈎図譜』という本からの抜粋です。先にも書きましたが、この本はいつ誰が何の目的で書いたのか?まったく判っていない書物です。ただ単に全国の色々な釣り針を絵で図鑑のように羅列されているだけの本です。別冊に明治22年頃に中村利吉という人が著したらしいと推定されているだけです。
 そこに毛鉤も掲載されているのですが、ほとんどが普通の蓑毛と胴なのに対し、これだけはウィングが付けられています。ウィングの中央にストークが確認出来ることから、普通のフライのウイングとはちょっと違う感じです。
 いずれにしてもこうした絵が残っている以上、少しでも多くの魚を釣るために、先達たちは様々な紆余曲折を繰り返しながら自分の毛鉤を完成に近づける努力をしていた事だけは伺えますね。
 最近、突拍子もない良い案が浮かんで来なくなってしまったのは悲しい現実です。