(台北-高雄 26日 中央社)昨年10月に起きた台湾鉄路管理局(台鉄)特急プユマ号の脱線事故で、列車の男性運転士が26日、立法院(台北市)で初めて記者会見を開き、行政院(内閣)の調査チームや検察が当初指摘していた速度超過について、強く否定した。
事故は昨年10月21日、新馬駅(宜蘭県)付近で発生。樹林発台東行きの特急プユマ号がカーブを曲がろうとした際に脱線し、死者18人、負傷者267人を出した。この事故により、男性運転士ら台鉄職員3人が今年6月、過失致死罪で宜蘭地検に起訴された。調査チームが昨年11月に発表した暫定報告では事故原因について、ブレーキや動力に関わる空気圧縮機の異常▽自動列車防護装置(ATP)の遠隔監視システムの未作動▽カーブ進入時の未減速などが挙げられた。
運転士は会見で、事故を起こした車両に故障があることを発車前に気付いており、指令室に車両の変更を要請したものの、指令所からは代替車両がないのを理由に故障車両の鍵を渡されたと説明。だが、これを証明する乗務日報は紛失され、指令室で録画された映像も上書きされて消失したとし、台鉄への不信感をあらわにした。
声明文では、運転士には「定刻運転のプレッシャーや速度超過運転の動機、速度超過運転の行為もなかった」と主張。今回の記者会見は責任逃れのためではなく、台鉄にさらに安全な環境を整えてもらうためだと念を押した。
国家運輸安全調査委員会は24日の記者会見で、速度超過と脱線事故の関連性については、さらに検証を進める必要があるとの見方を示した。1年後の調査報告提出を目指すとしている。