(台北中央社)台北メトロ(MRT)は6日、運賃割引制度の改定案を公表した。ICカード乗車券利用の場合、一律2割引とする現行の制度から、月ごとの累計乗車回数に応じて現金還元する方式に改める。同社は早ければ来年の旧正月(1月25日)連休後にも施行する見通しを示しているが、この案を巡っては、新北市政府が「十分な意思疎通ができていない」として難色を示しており、同市は合意達成後の施行を求めている。
改定案はICカード乗車を対象としたもので、乗車回数が多いほど現金還元率が高くなる方式を採用。月11~20回乗車の場合は還元率10パーセント、以降10回区切りで還元率を5パーセント高くし、最大で30パーセント(月間乗車回数51回以上)還元する。乗車回数は利用したカードに記録され、毎月1日から同月最終日までの期間で累計回数が計算される。還元金は翌月から6カ月以内に同一のICカードで乗車した際に自動でカードに入金(チャージ)される。同一月内に複数のカードで乗車した場合、乗車回数は合算されない。
65歳以上の高齢者や心身障害者、6歳から12歳未満の子供を対象にした割引運賃、バスとの乗り継ぎ割引、定期券は現行のまま維持する。
台北メトロの担当者は、改定案が施行されれば、営業収入は年2パーセント、約3億台湾元(約10億6800万円)増加するとの試算を明らかにした。改定の背景には、本業の運輸事業が赤字になっているのに加え、その他事業での利益獲得が頭打ちになっている現状があるとみられている。
▽新北市が難色 十分な意思疎通求める
台北メトロの株主の1社である新北市政府の鍾鳴時交通局長は7日、中央社の電話取材に対し、運賃調整後の影響などについてメトロ側から十分な説明がなかったことを明らかにした。その上で、強行突破をするのではなく、十分な意思疎通によって合意形成を図るべきだとの見解を示した。
台北市政府交通局の陳学台局長は9日、メトロ幹部と共に新北市政府を訪れ、改定案に関する評価分析や考えうる影響などについて説明を行った。台北市は、新北市と集中的に意思疎通を行っていくとしている。