外苑茶房

神宮外苑エリアの空気を共有し、早稲田スポーツを勝手に応援するブログです。

天才への扉

2011-02-24 18:02:07 | 大学野球
昨日、明治大学と阪神、中央大学と巨人というオープン戦が、日本学生野球協会で承認されました。

明治大学野球部は、学ランからブレザーへの切り替え、女子部員の受け入れなど、東京六大学の中で、最も柔軟な動きが得意という印象があります。
今回も、六大学の先頭を切って、プロとの試合を行うことになりました。

一方、保守的な印象のある早稲田ですが、どんな展開となりますか。
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さて、今日の日経新聞朝刊のコラムで、豊田泰光さんが川上哲治、大下弘という2人の天才野球人にまつわる思い出を書いていらっしゃいました。
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若かりし日、豊田さんが「どうやって野球が上手くなったのか」と川上さんに尋ねました。
川上さんの第一番目の答えは、意外にも「バットを丁寧に扱うこと。」
「自分のバットを大切にするのはもちろん、ベンチ前などに無造作に転がっているものがあれば片付ける」
という、実に平凡なものであったと。

しかし、よくよく考えてみると、弱いチームに限って、放置されたバットやボールを踏みつけて捻挫する事故がある。
すなわち、一人一人の心掛けが、一個人の問題にとどまらず、チーム全体に関係してくるのだと、川上さんはおっしゃったのです。

川上さんは、名指導者となる資質を早くから示されていたわけです。
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かたや、天才打者・大下弘さんについては、ペッパー打撃(トス打撃)をやるだけでキャンプの練習を終えてしまうので、豊田さんは驚いたと。
しかし、そのバット・コントロールが実に正確なので、豊田さんは感服されたそうです。

右・正面・左に立った3人の投げ手から順番に投じてもらった球を、大下さんは正確にワンバウンドで相手の胸に打ち返す。
まるで球に糸がついているように見えたそうです。

「山なりの球の芯を捉えるのは速い球より難しい。力任せに打ち返すだけが練習ではない。」と豊田さん。
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かつて、石山建一監督の時代の早稲田は、ペッパーをよくやっていました。

抜群に上手かったのは、打者:岡田、投げ手:中屋がコンビを組んだ時。

中屋選手が投げた球を、岡田選手が、コツーンとしなやかに中屋の胸にワンバウンドで打ち返す。
その打球を、決して左手グローブの中で踊らせることなく中屋選手は捕球して、握り直しすることなく素早く正確に投げ返す。
それを、岡田が打ち返す…

2人の洗練された技術に、旧・安部球場の観客席に座るファンは感心しきりでした。
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石山建一さんの門下生であった岡村監督は、今年からペッパーを練習メニューに復活しました。

これまでのところ、現役部員諸君は、打っても、投げ返しても、ミスが目立ちます。
中屋・岡田の技量の域に達している部員はまだ見当たらないかなと。

岡村監督は、ペッパーのような基本的なプレーが正確に、そして素早くこなせるようになれば、攻守両面でチーム力か格段に向上するはずだと期待されているのだと思います。
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豊田泰光さんはおっしゃいます。
「天才への扉は、必ず平凡な日常のどこかにあるはずだ」
「ただ、それが凡人には見えないのだ」

部員諸君は、たとえ扉が見えないとしても、ここは騙されたと思って、ペッパーの達人を目指してみてはいかがでしょうか。
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