外苑茶房

神宮外苑エリアの空気を共有し、早稲田スポーツを勝手に応援するブログです。

You can close your eyes

2012-01-11 22:51:23 | ビジネス
私が銀行に就職した、二年目の冬。
勤務する横浜市内の支店が、隣の支店を吸収統合するということになりました。

ある朝、臨時の朝礼で、支店統合の話が一般行員たちに初めて知らされたのです。

バブル経済崩壊後の1990年代後半、邦銀各行は、海外拠点の撤退、国内拠点の統廃合、そして合併など、激烈なリストラを経験することになりましたから、そこで実務上のノウハウが、嫌でも蓄積されていきました。
本部によるシステム・サポートも充実していきました。

しかし、私が経験したのは1980年ですから、支店の統廃合は極めて稀なケース。
したがって経験の浅かった私は、支店統合によって、どんな業務負担が生じるのか思いが至らず、
「ふーん、支店統合か…」と、ボンヤリと考えるだけでした。
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本当に大変な準備作業でした。

吸収される支店に存在する、全てのCIF(顧客番号)、全ての預金口座番号を、新たに手作業で作る必要がありました。
支店の会議室に、臨時の端末機が何台も設置され、朝から晩まで、口座開設オペレーションが行われました。

そして、新しい口座番号の預金通帳を事前に作成し、お客様をお待たせすることなく新通帳への切り替えができるようにしました。

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そうして迎えた支店統合の日。
積み重ねた準備が奏功して、窓口においでになるお客様への対応は、予想以上に円滑に進みました。

しかし、バックオフィスでは、様々な問題が。
同じ事務規定に則しているにもかかわらず、2つの支店の現場で行われていた事務処理のプロセスが、微妙に異なったのです。

伝票の点検、綴り込み、翌日に向けた準備等々において、役職者も担当者も、悶々とする毎日となってしまいました。

それに加えて、統合により消滅する支店から移ってきた行員たちは、心の奥底では「業績は悪くなかったのに、自分たちの支店は取り潰された」と、深く傷ついていました。

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そんな状況で迎えた年末のある日、私と、一年後輩の慶応ボーイ・Tくんが支店長室に呼ばれました。

支店長からの指示は
「学生時代を思い出して、学園祭のようなクリスマス・パーティーを企画してほしい」
「職場での序列、あるいは出身店を忘れてしまうような催しを考えてくれ」

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支店長の意図が私たちにも良く理解できました。

そこで私とTくんは、早稲田祭や三田祭のノリで支店の会議室にステージと客席を設営しようと決意しました。

会議室に、自宅からハイパワー・アンプと大口径のスピーカーを持ち込んで、ちょっとしたジャズ喫茶のサウンドを実現。
折畳み机などを針金で天井まで組み上げて、閉鎖された空間のステージとダンス・エリアを作りました。

その外側は、お取引先のお寿司屋さんやオデン屋さんにも出店を設けていただき、ステージとは別空間の飲食・歓談スペース。

その週は、終電近くまで毎日作業して、当日は2人とも有給休暇を取って、朝から準備しました。

その結果は、もちろん大成功!
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そのステージでの思い出です。
私はアコースティック・ギターを抱えて、「はっぴいえんど」の「朝」、そして、ジェームス・テイラーの「You can close your eyes」を1人で歌いました。
続いて、若手行員たちがステージに登り、「なごり雪」や「あの日に帰りたい」などを歌い、私が伴奏とバックコーラスを担当しました。

かたやTくんは、支店に数多く届いたお歳暮の品々を活用して、チャリティー・オークションを企画。
私がBGM準備を担当し、クインシー・ジョーンズの「アイアンサイド」、BS&Tの「スピニング・ホイール」、チェイスの「黒い炎」などをちりばめたカセット・テープを流し、オークションの後は、ダンス・タイム!
ソウル・ミュージックととスイング・ジャズを交互に、大口径のスピーカーからガンガンと流しました。

今から三十年以上も昔のことですが、我ながら良くやりました。
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その時の思い出の歌、「You can close your eyes」です。


携帯用リンク
パソコン用リンク

Well the sun is surely sinking down
But the moon is slowly rising
So this old world must still be spinning 'round
And I still love you

ほら 夕陽が沈んでいくよ
代わって 月がゆっくり昇ってきた
時の流れは きっと昔から変わることなく廻っているんだね
その証拠に 僕は今も君が好きなんだから

So close your eyes
You can close your eyes, it's all right
I don't know no love songs
And I can't sing the blues anymore
But I can sing this song
And you can sing this song
When I'm gone

そう 瞳を閉じてごらん
できるだろう うん それでいい
僕はラブ・ソングを知らないし もの憂いブルースも唄えない
でも 僕はこのメロディが唄えるよ
君も 唄えるだろう 僕がいなくても

 
It won't be long before another day
We gonna have a good time
And no one's gonna take that time away
You can stay as long as you like

じきに 朝がやってくる
二人で 素敵な時間を過ごそう
誰も 邪魔することなんか できないさ
いつまでいても いいんだからね
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