紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

漫画アシスタント

2008-08-30 00:02:01 | 読書
 車の中に常備している本は、雑誌「yomyom 6号/2008夏号」だ。

 たまたま目を通した「三浦しをんの『ふむふむ』」というインタビューの頁に、釣り針を食ってしまった魚のように、ぐぐっと引き込まれてしまう。このひとのインタビューは、いつも面白い。

 今回は漫画家のアシスタントさん、萩原優子さん。それも数奇な運命によりアシスタントの道に入り、職人ワザを持つに至った、という、非常にドラマティックな方なのである。

 しかも目からウロコ、というか、心に迫るエピソードがごろごろあり、なんという素晴らしい人選かと、もうその時点で感動的である。

 まず、会社勤めが合わないことに悩んでいたとき、ふと「私、漫画描くの、好きだった」と考えたことからスタートしたのだ。

 それでまだ会社に籍があるときに、アシスタント募集に応募し、「やる気があるなら、毎週末呼びますよ」と、先生から採用の連絡が。「この仕事で食べて行くのは本当に大変だから、気軽に会社をやめちゃだめ」と先生に言われたときには、すでに辞表提出済で。

 しかも編集さんは、彼女の応募原稿を見て「使えない」と落としていたのに、先生が「履歴書がしっかり書けているから、一度会いたい」ということだったとか。なにせ萩原さんは商業高校出身なので、履歴書の書き方は万全だったらしい(笑)

 先生としては、「一からというより、マイナスより教えるから」というのが、当初からの覚悟だったそうで、「即戦力」があっても「協調性」や「社会性」がないとアシスタントという職人仕事といえど難しいのだ。いや、ある意味寝食を共にしたり、20時間ぶっ通しでひとつの仕事を成し遂げる共同作業だからこそ、「協調性」や「社会性」を問われるのだ。

 萩原さんは「自分探し」ではなく「居場所探し」という感じで、肌に合わない一般的なOLの世界から、職人肌でチームを組むプロ集団の世界に飛び込む。そこはほとんど住み込みの丁稚奉公のような厳しい修行の世界なのだけれど、ユニークで切磋琢磨できる仲間たち(先生を含む)を発見するのだ。

荻原「いい意味で変わった人が多かったんですよ。人間にはすごく興味があるくせに、他人に干渉しない、群れない人が多くて」
三浦「トイレに一緒に行ったりしない(笑)」
萩原「あと、アシスタントも漫画家の先生も、やっぱりすごく観察するかたたちなんです。だから三歩先ぐらいの会話をされる」

 うーん、これ、今の職場の図書館司書の世界にも通じるものがあるなあ。人間にはすごく興味があり、でも他人に干渉しない、群れない。協調性もサービス精神も思い遣りも人一倍あるけれど、とてもソリッドで個性的で職人集団。チームで仕事をする職人集団のテイストは自ずと似て来るのかも。