高尾山ケーブルカー“高尾山”の駅前に生育している「ブナ(ぶな※)」。ブナ科ブナ属の落葉高木でこの樹は去年は多数の花を咲かせたが今年は“裏年”で花はひとつも無かった。写真はその葉に出来た虫えい(虫こぶ)。高さ1センチほどのものはブナハツノフシよりは更に大きいがこれもその名に相応しい。その手前には長さ2~3ミリのブナハカイガラフシが多数ある。
※“ぶな”の漢字は木へんに無。
高尾山系で見られる「ヒトツボクロ(一黒子)」。ラン科ヒトツボクロ属の多年草で山地の林内に生育している。花期は5月下旬~6月で1本の花茎に1枚の葉が付く。先日、葉の様子を確認していたが、写真は別の場所のもの。花茎を伸ばし先端に蕾を付けている。さてこの写真の中にヒトツボクロの1枚の葉と蕾が写っているがおわかりだろうか。
野猿峠付近の道端に生えている「メキシコマンネングサ(墨西哥万年草)」。ベンケイソウ科マンネングサ属の常緑多年草でメキシコの名前があるが原産地は不明。日本にいつ渡来したかもわからないが米軍関係者が持ち込んだという説があり今は関東地方以西の陽当たりの良い道端で普通に見られる。草丈は10~15センチで立ち上がり4~5月に茎の先端に集散花序を出して直径1センチほどの5弁花を多数咲かせる。肉厚の葉は3輪生している。
下柚木“永林禅寺”参道で見掛けた「ツルマンネングサ(蔓万年草)」。ベンケイソウ科マンネングサ属の多年草で朝鮮半島や中国東北部原産。日本には古くに渡来しており陽当たりの良い道端や河原などに生育している。赤褐色の茎が地面を這うように伸びて繁殖する。花期は5~6月で直径1.5センチほどの5弁花を多数咲かせる。
昨日の東京は朝から気温がグングン上がり今年初めての“真夏日”を観測した。朝、雨戸を開けると雲ひとつない青空が広がっている。そこで『そうだ、高尾山、行こう!』と決断した。高尾山は先週登ったばかりだが、宿題をひとつ残してしまい何とかそれを終えたいと思っていた。午後に所用があるのでいつものようにあちこち観察しながらでは間に合わない。そこでリフトを使い3号路で2種類のランの蕾を確認し高尾山頂をスルーしてそのまま奥高尾の一点を目指す。そう、先週「キクバドコロ(菊葉野老)」の雄花序を見た場所だ。約5キロの登り坂を一気に進みリフトを降りてから2時間後にやっとそのポイントに到着した。大きな葉や雄花序を確認しその周りを探索する。すると少し先に『あった。雌花序だ。』 雄花と違って花筒の部分が長い。花冠は6裂し退化した6本の雄蕊の中心に3裂した雌蕊がある。これで秋には果実が見られそうだ。この後、一丁平、高尾山頂、6号路の7キロをスタコラサッサと1時間40分で下り高尾山口駅から帰路についた。次の宿題はこの果実だ。この日、奥高尾“一丁平”付近でホトトギスの初鳴きを聞いた。キクバドコロはヤマノイモ科ヤマノイモ属のつる性多年草。
ラン科エビネ属の「タカネエビネ(高嶺海老根)」。エビネとキエビネの自然交雑種とされている。唇弁の中裂片の先端は通常のエビネと異なり深く2裂していない。この季節にはエビネの変種も色々見ておきたい。
クスノキ科ハマビワ属の「アオモジ(青文字)」。台湾や東南アジア原産の落葉小高木で雌雄異株。早春の葉の展開前に直径1センチほどの淡黄色の小さな花を咲かせる。写真は若い果実で直径は5ミリほどで秋に熟す。果実には芳香がありその精油は化粧品に利用されている。アオモジは山口県や九州地方に分布しており当地では自生は無い。
奥高尾“もみじ台南巻き道”に生育している「ツクバネウツギ(衝羽根空木)」。スイカズラ科ツクバネウツギ属の落葉低木で4~6月に長さ3~4センチの釣鐘漏斗状の花を2つずつ咲かせる。高尾山では“稲荷山コース”や“5号路”などでも見られる。
高尾山系ではエビネが各所で見られるが変種も多くそれを見るのが楽しい。写真は「ヤブエビネ(藪海老根)」と呼ばれるもので通常のエビネと異なり、背萼片、側萼片、側花弁が赤褐色にならず淡い緑色になり唇弁には赤い斑が入らない。残念ながら盗掘が後を絶たずこういう希少種は存在が危ういが今年もこうして見ることができた。ヤブエビネはラン科エビネ属の多年草。
長池公園“ながいけの道”で見られる「ヤブヘビイチゴ(藪蛇苺)」。バラ科キジムシロ属(ヘビイチゴ属)の多年草で花期は4~5月。写真は萼片の様子で外側に3裂した5枚の副萼片がありその内側に先端の尖った5枚の萼片がある。この萼片が花後に偽果を包むようになる。ヤブヘビイチゴの赤い果実には艶があるがヘビイチゴの果実には艶が無い。