霧のシャウインスランド
なんも見えんがや。
水曜日午後、予定通り大学を14時ごろバスで出発した。
街を抜け、アウトバーンを使ってブライザッハへ。
渋滞もなく、順調かな。
ブライザッハは国境の町なので、それなりの幹線で行けるのだ。
鉄道駅が見えて、停車したと思ったら、あれれ?H氏が外を走ってる。
私たち
「ざわざわざわざわ・・・」
バスを降りると、こっちだーー!みたいな感じで、H氏が呼び、2両連結のディーゼル車に乗るように言う。
「あれ?ブライザッハの散策は無し?」
前日、ブライザッハに来た人たち(はっきり書くと、毎度お馴染みのS氏たち)は、
「あぁ良かった。昨日と同じコースじゃなくて。。。」
列車は私たち全員が乗りきるとすぐに発車した。
どうも私たちが乗るのを待っていた。。。と言うより、H氏が発車を待たせたらしい。
「やってくれるね。。。」
乗車時間、20分程。
車窓を楽しむ?時々スタッフが外の風景を説明してくれる。
この辺はカイザーストゥールと言って、ワイン用のブドウの産地でワイナリーも多く。。。
「えっと、もしかして、ワイナリーを巡るツアーって、これ??」
あ、違うわ。「通り抜ける」なのね。
※カイザー・ストゥールとは、直訳すると「皇帝の椅子」
地形が椅子の形の小山になっているので名が付いた。
この辺は大昔に火山地帯だったため、地質がワイン用のブドウ造りに適しているのと、
地熱もあると以前聞いたことがある。
エンディゲンに着くと、さっき降りたバスが待っていた。
誰かの声「これって、バスに乗って周るんじゃダメだったんすかね?」
「わざわざ電車に乗る意味あったんすか?」
「ワイナリーは、これから行くんすか?」
ざわざわざわざわ・・・・。
バスは、ぶどう畑の脇の道を通って、すんなりとアウトバーンへ。
あぁ、私たちの希望、バーデンワイン試飲の夢は消え去った。
ガックリして、外を見ていると、フライブルクへ戻っている。
当然だ。東側の黒い森に向かうんだもの。
ご丁寧に、フライブルクの街中を通過して、シャウインスランドへ登っていく。
「これって、ブライザッハとか行かないで、もう少しお昼ゆっくりしてから、直接黒い森へ行っても良かったんじゃ???」
ざわざわざわざわ・・・・。
けっこうな雨が降り出した。。。
シャウインスランドは黒い森の端っこにあって、牧場が広がる高原だ。
長閑な美しい景色が見えるのだが、雨は少し上がっていても、見てのとおりの霧だ。
寒い。ライトダウン持って来て良かったよ。
景色を楽しむことなんか出来ない。
「少し停まるから、景色を楽しんで観てね~。」って言われても、何も見えないじゃん。
観光地じゃないから店も無い。
雨もまた降ってきた。
さっさと、バスに乗り込んで出発を促す。
次はティティゼーだ。
はい。寄りにも寄って、大雨。
H氏「降りてまっすぐ行くと湖があります。お店もあるけど、観光地料金で高いですよ。」
「トイレだけなら、そこに1ユーロのがあります。」
「30分後に、またここからバスで出発しまーす。」
とても有難い説明だ。
とにかく有料トイレへ。
それはいいの。有料の方が清潔なトイレだもん。
一応湖で行くも、9年前とは全く違う。
寒い。舟にも乗れない。店を見る気にもなれない。
かろうじて、観光局が入ってる建物でアンティークマーケットをやってるようなので行ってみたが、
お客も少ないからか、もう終い始めていた。
バスに戻って出発を待つと、エンジンがかからない。
くいくいくいくい。。。。。ぷしゅーー
私たち
「ダメじゃん。(電車で帰りたい。。。)」
「全員で押し掛け?」「無理無理。」
「どうするんだろね、JAF呼ぶ?」
「いやいやいやいや、ここはドイツだし。。。」
「ADAC?(ドイツ自動車協会)」
「バス2台なんだから、線でつないでかければ?」
。。。
ブルルン!
「あ、エンジンかかった。」「つないだんだね。」
やれやれ、バスにも見放されてるかと思ったよ。
H氏「はい。ディナー会場へ向かいまーす。」
謎のエクスカリバー?
調べると、第一次世界大戦記念碑らしい。
「はい、着きましたよー。」
と、H氏が先に降りて、農家風の建物に走って行く。
「あれ?扉が閉まった。拒否された??」
「ホントに予約入ってる?」
不安な私たち
「ざわざわざわざわ・・・・・」
とにかく、バスを降りて行ってみると。。。
扉が開いた。
Welcome!
おもむろに食前酒とプレッツェルが配られた。
ディナーの始まりだ!
つづく
月曜朝から学会が始まった。
それぞれ登録をして、プログラムを貰って。。。
オープニングセレモニーで話すH氏
Tシャツにジーンズか~。
ま、いいけどね。
ヨーロッパってけっこう権威主義で、
大学の教授って言ったら、鼻た~か高って聞いたんだけど、今は違うのかな?
4日間の会期中、3日目の午後に遠足が入っているのだけど、
まだ内容の発表が無いな~。
近場ならティティゼー(湖)?
H氏の企画だ。期待しないでおこう。。。
1日、2日目は、特に大きな事件もなく、
出番がない人の中には、自主的にライン川の方の国境の村ブライザッハへ行った人もいた。
夜になって、仲間に「遠足何処へ行くんだろうね~。」と聞くと、
「ワイン畑がどーちゃらこーちゃら、
ティティゼー。。。とか聞いた気がする。」という答え。
土地勘が無いので、分からないようだった。
私は、それを聞いて、
変だな。カイザーストゥールとティティゼーだと、方向が全然違う。
なんか嫌な予感。
3日目、つまり遠足の当日、
噂には聞いていたが。。。の遠足詳細発表。
ガーン
まさかと思ったが、真逆の方向に行ったり来たり?
うへぇ、このスケジュール、大丈夫なんか?
雨降るって言ってるし。。。
配られた予定
2p.m. バスで大学を出発。列車の駅ブライザッハを目指す。
2.40p.m. 列車に乗って、エンディゲンまでワイナリーが広がるカイザーストゥールを通り抜けるツアー
3.05p.m. エンディゲンに到着後、またバスに乗ってシャウインスランド、フライブルグ経由でティティゼーへ
天候に寄るけど、途中でちょっと停まるよ。
5p.m. ティティゼーに着いたら、周辺散策
5.45p.m. バスに戻って、ヒンターツァルテン経由「ヘンスレーホフ」へ。最短の道は工事中
6p.m. ディナー会場のヘンスレーホフ到着。
9.30p.m. 2台目のバスがフライブルクへの帰路へ
10.15p.m. 大学到着
※バスは2台用意してあるけれど、帰りは1台目を早く帰りたい人用にします。
つまり、フライブルグを起点として、西に行ってから東へ向かうというルート。
なんか美しくないねぇ。
それでも、「あぁ、美味しいバーデンワインの産地巡りで一杯飲めるかな?」
ぐらいの期待はするわなぁ。
ブライザッハに前日行っちゃった人は、「行くって分かってたら行かなかったなぁ。」って言ってた。
「またあの丘に登って、可愛い教会を見て、眼下にライン川を見て。。。」
そう。出発前、皆にはそれなりに期待があったのだ。
つづく
石畳
昔はこの前にパン屋さんがあったという印
今回のフライブルクは街中、工事しているといった印象だった。
ドイツの中でも環境都市を誇る街なので、エコに力が入っている。
旧市街の中はトラムが走り、歩行者優先で自動車は指定車のみ。自転車乗り入れ禁止(守られていないが)
シュヴァーベン塔
左は建物の修理中。
右に見えるピンクの建物は、ドイツ最古のゲストハウス:ホテル・ローテンベーレン(赤熊ホテル)
奥に見えるのはマルティン門
交差点のベルトアズブリュンネンからマルティン門を振り返って撮った。
いい加減だが、旧市街の地図を書いてみた。
オレンジは路、または道路。
黄緑はトラム路線
自動車は駅の前の道が普通にOK。Hホテルの周囲の道は徐行でOK。
目抜き通りのカイザー・ヨーゼフが一番広い路で、トラムとバスが走っていたが、
今はバスも乗り入れていない。
と言うよりも、とにかくトラム路線拡張のために、大工事中。
ベルトアズブリュンネンから北へ点線の部分がトラムの線路を敷き直している状態。
その西の路にもトラムを敷くらしく、工事中。
カイザー・ヨーゼフは左右に大きな店が並び、
あっちへ行ったりこっちへ行ったりしながら買い物をするのが楽しいのに、
ずーーーっと工事してて、今は左右に渡れる所が3カ所ぐらいで限られてしまっている。
そこで問題になってるのは石畳だ。。。
100年前にライン川の石を持って来て半分にして埋めたらしいが、
それも新しい石を使って埋め直し。
つまり。。。部分部分で色が合う石を選び、半分に割ったり形を整えて埋める。
職人の手作業だ。
網の隙間から見ていると面白いのだが、恐ろしく時間がかかる。
だから、この目抜き通りの工事は、延々と進まないのだ。
いつ終わるんだろう??
ホテルから見える部分の工事も早朝から頑張っている。
でも、進んでるように見えないところが困りモノ。
ホテルでトラムの切符をもらって、乗り放題だ!って喜んでたのに、
路線がこの様相では、乗り甲斐もなく、3回ぐらい乗ったかな。。。
結局余計に歩いた分、ダメージが早くて、買い物最小限。
まめにホテルに戻って休憩。
ザッザッザッザッ
チャ~ラ~ラ~ラ~ラッチャッチャ~~~
又は教会で、
チャ~ラ~ラ~ラ~ラ~~~~ラ~~~~ラ~~~~~
HP回復しないとダメだわ~な世界。
工事をやってるなんて、聞いてないよ~!
ちょっと残念な街歩きだったのである。
夜が明けた。
ミュンスター(大聖堂)の尖塔が見える。
この眺めはチョットお気に入り。
さて、嫌なことばかり書くのも何なので、
得意の食べ物ネタで小休止。
夜が明けりゃ、腹が減ってる。(笑)
ドイツの食事は朝食が一番!
先ずオレンジジュースを飲んで、
お姉さんに紅茶を頼んで、好きなものを皿に乗せて席に着く。
私はコーヒーも好きだけど、飲みすぎると胃が重くなっちゃうので、朝は紅茶。
茶色い棒状のはブレッツェル。やっぱり美味しい。
軟らかい少し甘味のあるパンも美味しい。
ソーセージはニュルンベルガーっぽい。
2日目はこんな感じで。
ブロートヒェン2つにたっぷりバターとジャムを塗って。
サーモンや鱒(?)も美味しい。
種類があるので、毎日違うパンを楽しめる。
他にもクロワッサンや、大型パンのスライスもある。
チーズやアウフシュニット(薄切りソーセージ)も豊富。
奥の小さいケーシングはレバーブルスト(レバーペースト)
左の瓶はシリアル。角に牛乳と果物。右はヨーグルトやフルーツソースなど。
上の段にジャムと蜂蜜が並ぶ。
バニラ味のヨーグルトかクワルク。
これはちょっと失敗。
最初のうちは美味しく感じたのだけど、だんだん粉っぽさが気になった。
写し忘れたが、
温かい料理は、スクランブルエッグと茹で卵と焼きソーセージ、カリカリベーコン。
ジュースもオレンジだけでなく、トマトからマルチビタミンなど8種類くらい。
加えて、朝からゼクト(スパークリングワイン)もある!
私は嬉しくなって、いつまでも座って食べていたいくらいだったが、
こんなにお皿を重ねてるのはうちぐらい??
大きな体なのに、シリアルだけだったり、パンとコーヒーだけだったりの方も。
ま、ゆっくり他の人を観察して食べていられたのは、仕事が無い日曜日だけ。
月曜からはバタバタと食べて、会議場に出掛けたり、
朝早く起きられなくなってきて、時間ぎりぎりなもんだから、食べるのも定量になっていた。
そんなもんよね。
このPホテルはサービスが良くて、
レセプションにもキャンディやスナック、果物が置いてあり、
小腹が空いたら事由に貰えたので、お昼を食べ損ねた時はバナナを部屋に持ち込んだりした。
過度でなく、普通に居心地の良いホテル。
駅から適度に便利だし。大変よろしい。
ただ、一つだけ気になることは、
実はドイツも難民が増えている。
別に彼ら全員が犯罪を犯すわけではないのだが、
以前は滅多に見なかったアフリカ系の人が増えていて驚いた。
ホテルの前は、夜22時までやっているスーパーがあり、
便利なのと明るいのとでか、夕方以降はたむろするアフリカ系の人が多くなっていた。
見慣れないから、、、、まぁ、ちょっと怖いわな。
実際、親戚は、ホテルの隣の公園で難民の子が来陰に隠れていて旅行者を襲い、
スマホとかアクセサリーなど、小金に直結するものを盗む、と言うのだ。
一件そういう事があると、難民全員が犯罪者みたいな感覚になってしまうのは解る。
でも、ダンナに言わせると、そんなことは何のメリットも無いのだから、
彼らだって、やっと平和な土地で暮らしていける状況を、つまらない軽犯罪で失うようなことをしないだろう。
まぁ、実際にその日の食べ物にも困っている場合、手段を択ばないという説もあるのだが。
ドイツが東と統一し、東欧の国々が開かれてどんどん移民が増えた時期、
やはり親戚は、彼らが「街を荒らす」的なことを言っていた。
そして今回は難民が。。。
彼らだって自分の国で平和に暮らせれば一番いいに決まってる。
それが出来ないのは誰のせいなのか。
平和や安全、多くを望まず、毎日三食摂れればいいだけなのに、
何故争う。
毎晩集まってくる彼らを見ていて、元凶を思って怒りが湧いてきた。
そしたらば。。。あの国が実験してるし!!
もっとよく考えようよ。
そんなことしてても、未来に幸せは無いのに。。。
ね。
学術会議なので、研究室の学生さん(T君)も一緒。
飛行機も列車も一緒だけど、
DB切符はwebで買う時に1等の方が安かったとかで、乗り継ぎとかも別行動。
彼はカールスルーエまで行って乗り換えたのだが、後の列車は1等もへったくれもなくなっていたらしい。
(私たちがカールスルーエに着いた時、ホームに立つT君を発見して、ホッとした。)
バスもだいぶ後の方で乗ったらしく、バーデンバーデンからの列車は座れたけど、
だいぶ端っこの車両だったようだ。
FRに着いたのが夜の10時ごろだったろうか。
私たちは、駅から5分も歩かない所に宿(Pホテル)を取っていたので、
駅からは10分くらいにあるSホテルに泊まる予定のT君とは、Pホテル前で別れた。
チェックインを済ませ、ウェルカムドリンクのゼクト(発泡酒)を飲んでから部屋へ行き、
やれやれ、、、と荷を解いて風呂だ!
もう寝ましょうかね。。。と言う12時ごろ。
レンタル携帯が鳴った。
T君だ。
ホテルに泊まれないんです!!
なんですと
予約してあるのに、クレジットカード提示を求められ、
JCBカードを出したら、それは使えないから泊めない!と言われたらと言うのだ。
ヨーロッパあるある。JCB使えない、ってか知らない。
ダンナ、怒る!
予約が通ってるのに、おかしい!
(カード情報を送って予約したはず。)
こんな夜中に外に放っぽり出されたら大変。
自分がホテルに直接電話もするし、自分でも「現金で払う」って言いなさいと指示。
そんなこと言われて「はいそうですか。」って言うなりにならないで、
自分でもしっかり主張しないとダメだよ!
着いた日は土曜日。
翌日は日曜。
銀行は開いてないし、カードのキャッシングができるか不明。
でも、とにかく粘る!が指示の骨子。
ダンナもホテルに電話して、ガンガン攻めている。
「予約を通したんだし、JCBが使えないという情報を開示していないそちらが悪い!」
そう。こういう時は、こちらに非がないことを主張し、
要求を絶対に通すという迫力が肝心。
後ろから、こっそり煽り立てている私。
アジア人だからって、舐められたらあかんで!
(見た目、子供っぽいんで舐められやすい。)
その後何とか泊まることが出来たT君。
その夜は一件落着。
そして、夜は明けた。
ホテルの隣は公園で、いろんな種類のブドウが植えられている。
T君からのメール連絡によると、キャッシングができず、
6泊現金で払うことになると、お金が足りないらしい。
700ユーロ足りないと言うので、
私の持ち金も合わせて、現金で10万円貸すことにした。
持って行ってて良かったよ。
と言うわけで、まだ何も始まってないうちに、ぐったりだったのだ。