若い人には想像が難しいだろうが、電車ではなく、蒸気機関車というものがあって、私の中学時代はそれで通学していた。夏などトンネルに入る時、うっかり窓を閉め忘れると、石炭の煤煙が車内に入り込んで大変だった。単線の田舎鉄道だったので基本一時間に一本。通勤帯だけは30分に一本だった。たまにしか汽車が通らないので、鉄路の上を歩いて駅まで行っていた。のどかな田園風景の中、列車通学は楽しかったし、たまにしか通らない汽車は、定時を知らせる時計代わりでもあった。
ところが、である。8年前に献身をして東京は杉並の高円寺に住んでみると、二階の住まいの、ほんの数メートル先は中央線であった。中央線は総武線と相乗りしていて複々線である。朝は四時前後から、夜は午前一時過ぎまで絶え間なく走る。それも各駅、快速、特快と特徴ある音を出して走り去っていく。
慣れとはおそろしいもので、いつの間にか電車の音がしなくなる早朝3時間余りの方が、逆に静か過ぎて眠れなくなる。静寂が来ると途端に気になって眠れなくなるのが、女性のハイヒールのカッカと鳴らして歩く音。なぜか一人で歩く人のつぶやきなどなど・・・。
この普通ではない時間帯に、時たま時刻ハズレの一本の電車が走る。これには飛び起きて「な、何だ?」となる。気になってある日、とうとう正体を突きとめた。その謎の電車は、電車のレール間隔やレールのガタを測る計測電車だった。道理で・・・。
今また我が家は総武線の沿線であって、あの時ほど近くはないものの、同じような絶え間ない電車音が響く中に暮らしている。しかしここは電車だけではない。近くの港からの汽笛の音、成田空港から離発着する飛行機の轟音。陸海空のトリプル音がする不思議なところである。偶然はないから、意味がやがてわかる時が来るだろうと思っている。 ケパ
ところが、である。8年前に献身をして東京は杉並の高円寺に住んでみると、二階の住まいの、ほんの数メートル先は中央線であった。中央線は総武線と相乗りしていて複々線である。朝は四時前後から、夜は午前一時過ぎまで絶え間なく走る。それも各駅、快速、特快と特徴ある音を出して走り去っていく。
慣れとはおそろしいもので、いつの間にか電車の音がしなくなる早朝3時間余りの方が、逆に静か過ぎて眠れなくなる。静寂が来ると途端に気になって眠れなくなるのが、女性のハイヒールのカッカと鳴らして歩く音。なぜか一人で歩く人のつぶやきなどなど・・・。
この普通ではない時間帯に、時たま時刻ハズレの一本の電車が走る。これには飛び起きて「な、何だ?」となる。気になってある日、とうとう正体を突きとめた。その謎の電車は、電車のレール間隔やレールのガタを測る計測電車だった。道理で・・・。
今また我が家は総武線の沿線であって、あの時ほど近くはないものの、同じような絶え間ない電車音が響く中に暮らしている。しかしここは電車だけではない。近くの港からの汽笛の音、成田空港から離発着する飛行機の轟音。陸海空のトリプル音がする不思議なところである。偶然はないから、意味がやがてわかる時が来るだろうと思っている。 ケパ