Happyday of LUCKY

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生きることの意味を問う

2015年07月06日 | Life
最近観た映画のご紹介。



一つめは「愛を積むひと」。監督・脚本は朝原雄三。原作は「石を積むひと」(エドワード ムーニー Jr.著)。
東京で町工場を営んでいた夫婦・篤史と良子が経営不振で工場をたたみ、北海道へ移り住む。あたらしく建てたログハウスのまわりに石塀をつくっていく物語であるが、完成を見ずに妻は亡くなってしまう。夫は石塀づくりをつづけながら、いろいろな人間関係が展開していく。

篤史と良子はちょうどわたしとおなじ世代の夫婦なので、自然に感情移入してしまう。美瑛のうつくしい風景のなかで、いのちといのちが関わり、ぶつかり、昇華されていく。お話自体はとても地味だが、だからこそ感じることのできるリアリティがこの映画にはある。
映画館内はほとんど年寄りばかりだったが、若い人たちにこそ観てほしい作品。



二つめは「あん」。監督・脚本は河瀬直美。原作はドリアン助川。
下町でどら焼き屋を営む千太郎のもとへ徳江という老女がやってくる。徳江はあんこづくりの名人で、彼女のつくったあんこのおかげで店は大繁盛。だが千太郎の過去や徳江の病気のことがわかってくると、物語は急展開する。

前半のあんこづくりのシーンは本当にうつくしい。まるであずきが生きもののように、大鍋でふつふつと茹であがり、だれもが生唾をのみこむ映像だ。徳江が「がんばりなさいよ」とあずきに声をかけるところがいい。
後半は世の中の不条理がわかりやすい形で描かれている。自分がどちら側に立つかによって、お話の見え方は180度かわってくる。その意味ではこわい映画である。

「愛を積むひと」も「あん」も今のこの生きにくい時代をよく映している。生きにくい時代だからこそ、いかに生きることが幸せにつながるのかを両作品は問うている。映画を観て泣いている場合ではない。

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