片手でケータイやコンデジを持って、モニタを見ながら写真を撮るスタイルがあたりまえになって久しい。
わたしもコンデジを使うときはそのモニタを見るのだが、じっさいの風景よりもコンマ何秒か遅れて見えるのがどうも気持ちわるい。
そして手ぶれ補正機能が効いてると、画像がふわふわとして酔いそうになるのはわたしだけではないだろう。
それに対して、光学式のファインダーを覗くカメラはやはり気持ちがいい。
とくに外付けのビューファインダーはじっさいの風景よりも格段に美しく見えるので、覗いているだけでたのしくなる。
もう快感といってもいいくらいだ。
先月、カラースコパー21ミリF4といっしょに買ったニコン製のビューファインダーはなかなか良い。
距離計でピントを合わせてからこのファインダーに覗きかえるのは、一眼レフ機にくらべて面倒だが、バルナック型ライカに慣れている人ならべつに抵抗はないはずだ。
それに近接でなければほとんどパンフォーカスになるので、じつはピント合わせなんて必要ない。
いきなりビューファインダーを覗いて、目のまえの風景を切り取るのは気持ちいいことこのうえない。
M8というハイエンドなカメラなのに、レンズ付きフィルム(写ルンです)でパチパチと撮るような気楽さがある。
ところでこのビューファインダーはニコンの高級コンデジCOOLPIX P6000とP7000用のアクセサリーとして販売されているものだ。
見えのよさは上に書いたとおりすばらしく、外装も金属製でモノとしての完成度は高い。
おまけに「Nikon」というロゴが日本光学だったころの細字なのが泣かせる。
さすがはニコンといいたいところだが、これはまちがいなくコシナがつくっているOEM品だろう。
コシナ製の28ミリビューファインダーMとまったく同じ形だし、見え方も同じだ。
これはコシナの技術力の高さを証明するものであって、ニコンユーザーが目くじらを立てる話ではない。
いまやデジタル家電メーカーにカメラづくりが移行しつつある時代、良心的な光学機器メーカーはお互いに助け合うべきだとさえ思う。
そうしなければ光学式のビューファインダーは早晩なくなって、すべて電子式になってしまうだろう。