昨夜、人形作家の福長千紗さんから電話がかかってきた。
新作ができたので撮ってほしいという。
クラフトアートの人形年鑑に掲載する写真である。
納期が1週間しかないので、さっそくきょう撮影することになった。
(いつも締め切りまぎわなので閉口している)
福長さんはこれまで日本の昔話や童話に出てくる動物や妖怪をテーマに作品をつくっていたが、今回の作品のテーマは「道化」。
ちょっと日本人ばなれした顔立ちの男性?が妙なシルクハットをかぶっている。
そのコントラストがすでに道化だ。
彼女の作品の特徴というか魅力は、それぞれの作品の個性がはっきりしていて、物語性を感じさせるところ。
単純にかわいい人形というのではなく(どちらかというと不気味だが)、その人形に人格(獣格?)のようなものを持たせる力がある。
なので、写真に撮るとその作品が勝手にしゃべりだして、見るものの想像をかきたてる。
その存在感がすばらしいといつも思う。
はじめは帽子を手に持ったカットを撮っていたのだが、どうもカッコよく決まりすぎる。
道化師というよりペテン師みたいに見える。
なので、こんどはふつうに帽子をかぶらせて座らせてみた。
あえて顔を左に向け、両手を足のあいだにもってくると、なんとも所在なさそうな侘びしさが出てきた。
「あっ、こんな人いてるいてる」と福長さんは満足げだ。
人形に人格が宿った瞬間だった。
これまでいろんな作品を撮らせてもらっているが、彼女はそれらを1冊の作品集にまとめて東京のあるアート系のギャラリーへ持ち込んだところ、なんと一発で気に入ってもらえたらしい。
正式な契約はまだだが、これらの作品の売る手伝いをギャラリーが買ってでているという。
関西では有名な作家さんだが、いよいよ東京進出の日も近いようだ。