(原題:Noce Blanche)88年作品。アカデミー賞にもノミネートされ充実した俳優生活を送っているジョニー・デップの嫁さんであるヴァネッサ・パラディのデビュー作だ。フランスの静かな地方都市を舞台に展開する、中年の高校教師と教え子の女子高生とのラブ・ストーリー。監督はこの映画が初めての日本紹介作であったジャン=クロード・ブリソー。
ひとつ間違えばとんでもなく通俗的なメロドラマかコメディになってしまう題材(しかも幾分手垢にまみれた感のある)であるが、80年代にデビューした最も才能豊かなフランスの映画作家と言われていたブリソー監督はこれをしみじみとした佳作に仕上げている。
何よりも登場人物の内面描写に非凡なものが感じられる。美しい妻と情熱的な教え子との間で板ばさみになって悩む主人公、暗い過去から現在も逃れ切れていないヒロイン、それらが誰にでも納得できるキャラクターとして造形されていることに感心する。
映像は実に落ち着いたタッチで統一されていて、音楽も必要最小限にとどめられており、カメラワークとセリフだけで物語を引っぱっいてく。室内でのカメラの使い方が秀逸。一見固定だが、あまり目につかないところで移動撮影を行なっており、主人公が妻と言い合いをしているくだりで、突然鏡が割れるシーンなどの動的なショットの伏線となっている。さらに、時折挿入される室外の自然光との対比もうまくいっており、繊細微妙なライティング効果が映像を盛り上げている。
ヒロイン役のパラディはこの頃から小悪魔的魅力と清純さをあわせ持つ逸材ぶりを発揮しており、ときどき見せるシニカルな薄笑いや、切ない眼差しなど、この映画のキャラクターをよく具現化している。当時はアイドル歌手としても知られていたが、アイドルといってもかなりきわどいシーンも平気でこなしているところなど日本のそれとは大違いだ。
苦い幕切れのラストシーンで主人公が見つめる冬の海がたまらなく美しい。どこかトリュフォー監督の往年の傑作「大人は判ってくれない」の最後の場面に出てきた海岸の風景を思い出した。
ひとつ間違えばとんでもなく通俗的なメロドラマかコメディになってしまう題材(しかも幾分手垢にまみれた感のある)であるが、80年代にデビューした最も才能豊かなフランスの映画作家と言われていたブリソー監督はこれをしみじみとした佳作に仕上げている。
何よりも登場人物の内面描写に非凡なものが感じられる。美しい妻と情熱的な教え子との間で板ばさみになって悩む主人公、暗い過去から現在も逃れ切れていないヒロイン、それらが誰にでも納得できるキャラクターとして造形されていることに感心する。
映像は実に落ち着いたタッチで統一されていて、音楽も必要最小限にとどめられており、カメラワークとセリフだけで物語を引っぱっいてく。室内でのカメラの使い方が秀逸。一見固定だが、あまり目につかないところで移動撮影を行なっており、主人公が妻と言い合いをしているくだりで、突然鏡が割れるシーンなどの動的なショットの伏線となっている。さらに、時折挿入される室外の自然光との対比もうまくいっており、繊細微妙なライティング効果が映像を盛り上げている。
ヒロイン役のパラディはこの頃から小悪魔的魅力と清純さをあわせ持つ逸材ぶりを発揮しており、ときどき見せるシニカルな薄笑いや、切ない眼差しなど、この映画のキャラクターをよく具現化している。当時はアイドル歌手としても知られていたが、アイドルといってもかなりきわどいシーンも平気でこなしているところなど日本のそれとは大違いだ。
苦い幕切れのラストシーンで主人公が見つめる冬の海がたまらなく美しい。どこかトリュフォー監督の往年の傑作「大人は判ってくれない」の最後の場面に出てきた海岸の風景を思い出した。


