元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「美術館の隣の動物園」

2010-05-23 06:56:47 | 映画の感想(さ行)
 (英題:ART MUSEUM BY THE ZOO )98年韓国作品。10日間の兵役休暇を得た主人公(イ・ソンジェ)が婚約者のアパートを訪ねたところ、彼女はとっくの昔に別の男と一緒になるために出て行っており、代わりに住んでいたのは見知らぬ若い女(シム・ウナ)。しかも、スッピンの顔で髪はクシャクシャ、言葉遣いも態度も乱暴な困ったキャラクターだ。邪険に立ち退かせるわけにはいかず、彼はこの女と奇妙な“共同生活”を送るハメになる。

 全然手入れしていない髪に洒落っ気のない服装といったブス仕立てのヒロイン設定が“顔がデカくてズン胴”のシム・ウナの身体的難点(失礼 ^^;)を強調しているのは実に遺憾だが、映画自体は実にチャーミングで楽しめる。

 性格が正反対の男女が出会い、衝突しながらも最後には恋に落ちるという筋書きは定番そのもの。主人公たちの書いているシナリオが劇中劇として挿入され、その中で演じているのが二人のそれぞれの片想いの相手だというのも、それほどの新奇さはない。しかし、丹念にキャラクターを造形して演出タッチを工夫すれば、話がありがちであっても共感を得られる映画に仕上がるものなのだ。

 赤い傘、オンボロ車、靴下を履かない足etc.各素材の扱い方が主人公たちの気持ちをよくフォローしている。音楽の使い方もセンスがいい。監督イ・ジョンヒャンはこれがデビュー作で、少々展開がぎこちないところがあるものの、作劇は軽快でイヤ味がない。紅葉が映えるソウルの街の描写も魅力的。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする