(原題:GUNDA )何とも形容しがたい映画だ。巷では絶賛している向きが多いらしい。しかしながら、個人的には何ら感慨を覚えなかった。わずか93分の尺ながら、観ている間はとても長く思える。とはいえ、作者が主張したい(らしい)ことは分かる。だが、それはこちらには伝わってこない。つまりは“立場”の違う人間が作るものは受け付けないという、シンプルな結論があるだけだ。
舞台はとある農場。母ブタが生まれたばかりの子ブタたち(約10匹)に乳をやっている。やがて子ブタたちは少し成長し、外で散歩するようになる。好奇心旺盛で絶えず動き回る子ブタたちの世話で、母ブタは疲れ果ててしまう。それでも、面倒を見ることを忘れない。だが、ラスト近くでは思わぬ運命が彼らを待ち受ける。全編モノクロのドキュメンタリーで、ナレーションも音楽も無い。監督はビクトル・コサコフスキーなる人物だ。
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ブタ小屋内の描写など、よくもまあ撮影できたと思われるほど凝ってはいるのだが、それ自体あまり訴求力は無い。ブタ以外の、ニワトリや牛の姿の捉え方も粘り強いのだが、観ていて面白くはない。肝心の終盤の処理はドラマティックではあるのだが、よく考えれば“しょせん家畜だし”という認識で終わってしまう。
これがもし野生生物ならば盛り上がるところだが、人間に飼われているブタでは“想定の範囲内”の結末でしかない。つまりは単なる農場のスケッチだ。そもそも、ブタ以外の描写は余計であるように思う。対象を絞って1時間程度にまとめれば、もっとタイトな仕上がりになったはずだ。
さて、製作総指揮にホアキン・フェニックスが名を連ねていることからも、本作の狙いが透けて見える。彼は筋金入りのベジタリアンなのだ。そういうイデオロギーからの視点では、なるほどこの映画の“筋書き”も納得できるものがあろう。作者は“ヴィーガンの立場から作ってはいない”と言っているらしいが、あまり説得力は感じられない。
舞台はとある農場。母ブタが生まれたばかりの子ブタたち(約10匹)に乳をやっている。やがて子ブタたちは少し成長し、外で散歩するようになる。好奇心旺盛で絶えず動き回る子ブタたちの世話で、母ブタは疲れ果ててしまう。それでも、面倒を見ることを忘れない。だが、ラスト近くでは思わぬ運命が彼らを待ち受ける。全編モノクロのドキュメンタリーで、ナレーションも音楽も無い。監督はビクトル・コサコフスキーなる人物だ。
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ブタ小屋内の描写など、よくもまあ撮影できたと思われるほど凝ってはいるのだが、それ自体あまり訴求力は無い。ブタ以外の、ニワトリや牛の姿の捉え方も粘り強いのだが、観ていて面白くはない。肝心の終盤の処理はドラマティックではあるのだが、よく考えれば“しょせん家畜だし”という認識で終わってしまう。
これがもし野生生物ならば盛り上がるところだが、人間に飼われているブタでは“想定の範囲内”の結末でしかない。つまりは単なる農場のスケッチだ。そもそも、ブタ以外の描写は余計であるように思う。対象を絞って1時間程度にまとめれば、もっとタイトな仕上がりになったはずだ。
さて、製作総指揮にホアキン・フェニックスが名を連ねていることからも、本作の狙いが透けて見える。彼は筋金入りのベジタリアンなのだ。そういうイデオロギーからの視点では、なるほどこの映画の“筋書き”も納得できるものがあろう。作者は“ヴィーガンの立場から作ってはいない”と言っているらしいが、あまり説得力は感じられない。