元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ベイビーわるきゅーれ」

2023-09-30 06:07:06 | 映画の感想(は行)
 2021年作品。単館系での公開ながら一部の上映劇場では9か月以上ものロングランを記録したとかで、私も今さらながらテレビ画面での鑑賞ではあるがチェックしてみた。結果、確かに設定は面白くギャグの振り出し方も好調なのだが、そんなに持ち上げるほどの出来ではない。良くも悪くもオタク向けのシャシンだろう。

 深川まひろと杉本ちさとは、一見普通の女子高生だが実はスゴ腕の殺し屋だ。そんな彼女たちも卒業を機に、所属シンジケートから表の顔としてカタギの職を持つことを強いられる。それでも要領の良いちさとはバイトなどを無難にこなすが、コミュニケーション能力に難のあるまひろは何をやっても上手くいかない。



 そんな中、ちさとのバイト先のメイドカフェにヤクザの浜岡一平とその息子のかずきが客として訪れる。メイドの態度が気に障った彼らは逆上して店内を占拠するが、居合わせたちさとは狼藉をはたらく2人を躊躇無く射殺する。一平の娘のひまりは復讐を誓い、腕の立つ者を集めてちさと達の抹殺を図る。

 若い女の子が平気で殺し屋稼業を営むという御膳立ては「キック・アス」(2010年)の“ヒット・ガール”の二番煎じかもしれないが、それ自体は悪くないモチーフだ。女子2人のボケたギャルトークは面白いし、シンジケートの“従業員”たちが彼女らを持て余す様子も笑える。ところが、肝心のアクション場面が大したことがない。頑張っているのは分かるのだが、他の本格的な活劇映画と比べればやっぱり生温いのだ。

 しかも、主人公2人がさほど可愛くない(苦笑)。見た目よりも身体能力重視でキャスティングしたのだろうが、ここは逆に“ルックス優先で起用した面子を、鍛え上げてアクション仕様にする”という順序立てにした方が、遥かに理に適っている。脚本も担当した阪元裕吾の演出は弛緩したところは見受けられず、無理矢理な長回しの多用も頷けるが、どうもアマチュア臭がする。まだ若いので、今後は精進を重ねて欲しい。

 主役の高石あかりと伊澤彩織はよくやってるとは思うが、外見がアレなのでどうにもコメントし辛い。三元雅芸に秋谷百音、うえきやサトシ、福島雪菜、水石亜飛夢といった顔ぶれは馴染みは無いが、まあ手堅いだろう。それでも一平役の本宮泰風は、その凶暴な存在感が光っていた。こういう濃いキャラクターが一人でも控えていると、何とかドラマは締ってくるものだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする