第八話
『運命の恋大ピンチ!? 美人モデルが誘う甘い罠』
やっとあやめに告白した恭之助だったが、
あやめからの返しはビックリしちゃってと・・・
けどありがとうと言ってもらえた。
その後、あやめを家まで送った恭之助。
「ビックリしちゃって・・・か。
なんつ~か・・・微妙なリアクションだったな。」
その時、美月から「助けて」と電話がかかって来た。
「最近ずっとストーカーにつけられてんだけど、
さっきマンションの中にいたような気がして。」
「だったら警察に行った方が―」
「お願い。 一緒に部屋まで来てあいつがいないか確認して。」
「分かった。」
美月のところへ駆けつけた恭之助は、
美月と一緒にマンションに入って行くところを撮られた。
部屋に入った恭之助は誰もいないことを確認。
帰ろうとした恭之助に美月が
少し休んで行ったらと強引に押し切る。
一方、一弥と優奈。
「お嬢さん。」
「うん?」
「もしもお嬢さんがあやめちゃんの存在を
気にしているのならその必要はありません。
もう終わったことです。
それと梢平兄さんから聞きました。 お二人の関係。」
「違うの。 聞いて、それは―」
「誤解しないで下さい。 責めてる訳じゃありません。
そんな資格・・・僕にはない。
ただ、お互いもう取り繕うのはやめにしましょう。
僕にはお嬢さんが必要だし、あなたも僕を必要としている。
一緒にいるメリットがあるなら、それでいいですよね?」
美月は恭之助に今までやったモデルの仕事を見せる。
「これ、いいじゃん。」
「モデル始めた頃の写真。 なんか素人くさくない?」
「俺は好きだけどな。 素のままの笑顔っていうか。」
「ふ~ん・・・嬉しいこと言ってくれるじゃん。
さすが歌舞伎界のプリンス。 女を喜ばせるの上手なんだ。
もっと喜ばせてもらおっかな。」
迫ってくる美月を拒む恭之助。
好きな子がいるとキッパリ。
そして恭之助は帰って行った。
「あやめねえ~」と言いながら電話をかけた美月。
「私。 写真ちゃんと撮れた?」
翌朝。
あやめのアパートに取り壊しのお知らせが貼ってあった。
老朽化が激しいためとのことで、
早めの立ち退きを準備して欲しいとのこと。
それを見て焦るあやめ。
その頃、恭之助の家では、
ヤスが週刊誌を持って慌てて恭之助のことろへやって来た。
昨日の美月との写真が写真誌に載っていた。
世左衛門やシズにも見つかってしまい・・・
「いや、これには事情があって・・・」
「この方とお付き合いしてるように書かれてますけど?」
「だから違うんだって! マズイ・・・」
飛び出して行った恭之助。
「待ちなさい恭之助! バカ息子が!!」
あやめは千晶と登校中。
恭之助は慌てて走っていたところ、春彦にひやかされる。
「恭ちゃん。 よっ、年上キラー。」
「そんなもん忘れろ!!」
「さすがにヤバイぜ、今回は。」
あやめはアパートのことで頭がいっぱい。
その時、女子たちが恭之助が載っていた週刊誌を見ながら
超ショックと話していた。
千晶がそれに気づき週刊誌を見せてもらう。
当然あやめの目にも入ってしまった。
植物の手入れをしているあやめのところにやって来た恭之助。
記事はでたらめだからと事情を話すが、
あやめはただの友達なんだから私に弁解する必要はないと。
「けどどう見ても怒ってんじゃん。」
「全然怒ってなんかないけど。」
「お前さ、もうちょっと俺のこと信じろよ。」
「どうやって信じろっていうの?
お前以外の子は好きにならないとか言ってすぐにあんな・・・
あの時言ってくれた言葉は聞かなかったことにするよ。」
「えっ!?」
「その方がお互い気が楽でしょ?」
「なんだよそれ? 勝手にしろ!!」
喧嘩別れしたところへ美月から電話がかかってきて、
会えないかと言われる。
その頃、一弥も本屋で週刊誌を見てしまった。
美月に会う恭之助。
事実とは違うと公表した方がいいよな?と言うが、
美月はこのままでもいいと。
ストーカーのこと公表して逆恨みされても怖いと言う。
「ああ、そっか・・・」
「それに・・・恭之助のこと好きになっちゃったから。」
「はっ!? はぁ・・・冗談言ってんなよ。」
「本気よ。」
「いや・・・けど俺はさ・・・」
「分かってる。 あやめちゃんでしょ?
それでもいいの。 私諦めないから。」
「いや、その・・・」
「あやめちゃんは怒ったりしなかった?」
「怒ってたよ。 説明したけど信用出来ねえってさ。」
「結局そんなもんなんじゃない?」
「えっ?」
「恭之助のことが好きなら、
あんな記事なんかよりあなたの言葉を信じると思うけど。」
「とにかく俺、明日から地方公演だから
何も動けねえし戻ってから考えるよ。」
「地方公演ってどこ行くの?」
「大阪。」
病院の待合室で週刊誌を見てため息をつく世左衛門。
呼ばれて診察室に入って行く。
「河村さん。 早くご決断いただかないと。
極めて厳しい状態だということはご理解されてますよね?」
「はい。」
「ご家族には?」
「出来るだけ早く息子に話します。」
自宅で手帳を開きスケジュールを確認する世左衛門。
そこへ恭之助が帰って来た。
記者の人はいなかったかと心配するシズ。
「お前はまだまだこの家の跡継ぎとしての自覚が足りない。
女性とチャラチャラ遊んでる暇があるなら
芸の一つも磨きなさい。」
「チャラチャラ遊んでなんかねえよ。 事情があった―」
「言い訳など聞きたくない!!
身の程を知れと言ってるんだ。
お前には伝統を引き継ぐ者として
やらなきゃならないことが山ほどあるんだぞ!!
一分一秒、無駄にする暇はない。」
あやめと一緒に撮った写メを見ていた恭之助。
クシャミをした恭之助に風邪かと声をかけるシズ。
「記事のこと、
あやめちゃんはちゃんと分かってくれました?」
翌日、あやめを待っていたシズ。
「今回のことでは皆様をお騒がせしてしまって・・・
実は坊ちゃん今日から地方公演で大阪に行ったんです。」
「そうなんですか。 じゃあ暫く東京には―」
「戻らないんですが、坊ちゃん数日前から風邪をひいてしまって。
どうやら向こうで熱が出たらしくて。」
「えっ?」
「薬を届けがてら私が様子を見に行こうと思ったんですが、
生憎、私も風邪を・・・」
ワザととらしく咳き込むシズ。
「それで・・・誠にぶしつけなお願いなんですが、
あやめさん代わりに行っていただけませんか?」
「私が!?」
「仲良しのあやめさんの顔を見たら
元気が出ると思うんですよ。
ほら坊ちゃん・・・単純なところがあるでしょ?」
「確かに・・・」
「まあ、その分裏がないところが坊ちゃんの良さというか、
人としては信頼出来るんです。
お嫌じゃなければ・・・
引き受けていただけるとありがたいんですけれど。」
薬の入った袋とチケットを渡すジス。
家で差し入れ用のクッキーを作るあやめ。
「私が風邪引いた時も・・・看病してもらったしな・・・」
大阪。
恭之助の控え室に行った美月は
驚く恭之助に会いたいから来たと言う。
今日の舞台は間に合わなかったけど明日観ると。
今日は泊まって行くと。
恭之助と同じホテルも取ったとのこと。
「表はファンの子がいっぱいいるから
先にホテル戻ってロビーで待ってる。
一緒にご飯でも食べよう。」
「いや、けど・・・」
そして汗かいたでしょと無理矢理浴衣を脱がせ、
行ってしまう美月。
梢平たちが噂話しているのを聞いている一弥。
「知り合いのモデルから聞いたんだけどさ、
恭之助の相手の美月って曲者らしいよ。」
「曲者って?」
「名前売るために今までも芸能人とかに近づいてたんだってさ。」
「あいつ利用されてるってことか。」
大阪に着いたあやめはロビーで美月にばバッタリ会う。
「こんにちは。 恭之助に呼ばれて来たの?」
「あっ、いえ・・・」
「そっか・・・押しかけ女房ってやつね。」
「別に・・・」
「私は恭之助に呼ばれたから来たの。」
「本当ですか?」
「勿論。 嘘ついてどうすんの?
この浴衣もお洗濯するから預かって来たのよ。
あなたもしかして何か勘違いしてるんじゃない?
恭之助があなたのことを本気で好きだとか。
あの人、ちょっと気に入った子にはすぐ好きとか言っちゃうの。
真に受けない方がいいわ。
彼は歌舞伎界のプリンスなのよ。
あなたみたいな地味な子、本気で相手にする訳ないじゃない。
世の中には釣り合いってもんがあるの。 分かる?」
「河村くんに渡して下さい。」
クッキーが入った袋を美月に押し付けて出て行くあやめ。
ホテルのロビーで恭之助を待っていた美月。
「食事外に行く? それともここのレストランにする?」
「俺やっぱやめとくわ。」
「えっ?」
「あんな記事が出たばっかだしさ。
誤解されるようなことはしたくねえんだ。
あやめへのケジメっつ~か。」
「あやめあやめって・・・
振り向いてもくれない子になんでそんな必死になってんの?
恭之助ならちゃんと愛してくれる人いくらでもいるでしょ?
私は本気であなたのこと―」
「ごめん。 俺はあやめが好きなんだ。」
あやめのクッキーをゴミ箱に捨てる美月。
部屋に戻った恭之助はあやめに電話しようか迷っていると、
一弥から電話がかかって来た。
「もしもし?」
「一弥です。」
「お前が電話してくるなんて珍しいじゃん。」
「美月さんという人のことでちょっと
お話ししておきたいことがあって。」
一弥は噂を聞いたことを話した。
「そういうことか・・・」
「何故僕がこんなくだらないことを
わざわざ電話してるのか分かりますよね?」
「あやめのことはどうなってんだ?って言いたいんだろ?
美月とは何もねえよ。」
「そうだろうなとは思ってましたが。」
「フッ・・・」
「何がおかしいんです?」
「いや・・・お前は俺を信じてくれるんだなあと思って。」
「えっ?」
「俺さ、あやめに気持ち伝えたんだよ。
ありがとうとか言われたんだけど、
すぐ後にあの記事が出ちゃってさ。
あいつが俺を信じねえから喧嘩みたいになって。」
「喧嘩ですか・・・」
「そのまま大阪来ちゃったんだ。」
「 いいんですか? 信じてもらえないままで。」
「良かねえけど、中途半端な気持ちじゃ舞台に立てねえから。
東京帰るまでしょうがねえよ。 じゃあな」
翌日、恭之助の前に現れた美月に、
もうやめろよと恭之助。
「お前は・・・俺の名前を利用したかっただけなんだろ?
これ以上自分を落とすようなこと、やめろ。」
「私みたいな半端なモデルが名をあげるにはね、
形振り構ってらんないのよ。」
「あの写真・・・俺がいいって言ったあの写真、ホントに良かったよ。
なんつ~か・・・スゲエ引きつけられた。
こんなやり方しなくたって、美月はきっと夢叶えられるよ。
つ~か叶えろ。
やっぱ初恋の相手は素敵な人だったって思いてえからさ。」
「小学生の頃と変わんないわねえ。
その鬱陶しいぐらい真っ直ぐなとこ。」
「悪かったな、ガキで。」
「ホント、少しは大人の男になったかと思ったけどガッカリ・・・
じゃあね。 そうそう・・・
あやめちゃん、あなたに会いに来たわよ。」
「えっ?」
「なんだか手作りのクッキーとか持って。
私ホテルのロビーで捨てちゃったけど。
ああいう純粋なタイプ超苦手だから、
嘘言って傷つけちゃった。 ゴメンね。」
ホテルのロビーに行ってゴミ箱を漁る恭之助。
中からクッキーを発見。
雨が降る中、あやめが走ろうとした時、
傘を差し出した一弥。
2人はお店に入って話をする。
「突然ゴメン。
それから・・・沢山辛い思いさせてホントにゴメン。」
「謝ることなんてないよ。
私はヒロくんが一番の歌舞伎役者になれるように応援してるから。」
「頑張るよ。 約束する。」
「うん。」
「恭之助さんがいなかったら僕は今頃・・・
歌舞伎をやめてしまってたかもしれない。
舞台を降りようととした僕を彼が引き揚げてくれたんだ。」
「あの『三人吉三』すっごく良かったみたいだね。
ヒロくんのお嬢吉三は勿論だけど、
河村くんのお坊吉三もきっと愛嬌のあるお坊だったんだろうな。
私が知ってる河村くんって、バカがつくぐらい真っ直ぐで正直で、
一見遊んでる風だけど意外と純粋で・・・
そういうところが舞台にも出る気がするんだよね。
だけど・・・きっと私が知らない河村くんっていうのも・・・」
「あの記事のこと?」
「あれね・・・歌舞伎界のプリンスなのに大丈夫なのかな?
あんな騒ぎ起こして。」
「恭之助さんはあやめちゃんが思ってる通りの人だよ。
少なくとも僕はそう思ってる。
僕は河村恭之助と同じ舞台に立ったから分かるんだ。
あの人が舞台で人を引きつけるのは、
裏も表もない、真っ直ぐで温かい人柄が滲み出るからなんだ。
僕はそう信じてる。」
「うん・・・そうだよね。」
一弥はお店の外に出てから恭之助に電話をかけた。
「恭之助さんですか。」
「どうした?」
「まだ大阪ですか?」
「いや、今東京駅。 これから―」
「ならいいんです。」
「はっ?」
「何グズグズしてるんだって・・・言おうと思ったんで。
それじゃ。」
あやめが部屋へ戻ると、部屋が雨漏りで水浸しになっていた。
床を拭きながら恭之助のことを思い出していたあやめ。
そこへ恭之助がやって来た。
「あやめ!」
「河村くん?」
「美月から聞いた。 会いに来てくれたんだろ?
このクッキー持って。 ゴメン。 さっき知ったんだ。
美月が何言ったか知らねえけど、
俺はお前に嘘は言ってない。 それだけは信じてくれ。
俺・・・お前に信じてもらえるような男になるよ。
だから、今すぐは無理でも、少しずつでいいから
俺のこと見て欲しいんだ。」
ドアを開けるあやめ。
「さっき、河村くんの声が聞こえた時、なんかすっごく嬉しかった。
一人でいることなんて全然平気だったはずなのに、
河村くんに出会ってから、側にいてくれる人がいることって
幸せだなぁ~って。
いつの間にか・・・そう思うようになってたんだよね。」
「あやめ・・・」
「信じられないとか酷いこと言って・・・ゴメンね。」
「いや・・・もう、一人で頑張らなくていいよ。
これからは俺が側にいるから。」
あやめの部屋の中の状況を見た恭之助。
「よし、決めた。 あやめ、一緒に暮らそう。」
「えっ!?」
一緒に暮らそうって・・・(‐∀‐;)
家の空いてる部屋貸そうか?の間違いじゃ?(笑)
なんだろう。
やっぱ純粋?だからかそんな発想というか、なんというか・・・
ま、可愛いからいいんだけどさ。
恭之助が? 玉ちゃんが?(笑)
美月は腹黒だったわりにはあっさり身を引いたような?
また何かして来たりするのか?
けど次回は美月よりもあやめ父が恭之助の家柄を知って
なんやかんややらかすようだね(-_-;)
最低の父親じゃ!!
父親と言えば、世左衛門さん大丈夫なのかな?
早く手術しないと危険な感じ?
恭之助にいつ言うの?
早くしないと最終回になっちゃう!!(笑)
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