ニュージーランドの南島で、セーリングの未来形のひとつに挑む その2

2010年11月16日 | 風の旅人日乗
まずは、カイトのコントロールのレッスンを、2時間受けた。
すべてのカイトに共通するロープの結わき方が面白い。
シャックルなどの金属をなるべく使わず、すこしでも軽くするための工夫だが、一般のセーリング艇でもぜひ応用したい、と思う。



2時間で、カイトのコントロールを大体覚えた。
ほぼ思い通りにカイトを動かせるようになる。とても楽しい。

ただ、パフが入ったときに気を付ける必要がある。とはいえ、草原の上空30メートルに浮かんでいるカイトに入るパフは前もって見えないので、糸(スペクトラかダイニーマだよ)を伝わってくる風のパワーを、腕と指先で感知する必要がある。
強いパフが入る前に一瞬ラルになるのは、通常のセーリングで経験するのと同じだから、手に感じているカイトのパワーが急にフワッと軽くなったら、すぐに強いパフが入る可能性あり、のシグナルだ。そのパフでカイトがガツンとパワーを受け、予想を上回る行動を始めるので、それに備えていろいろと準備をする。これも通常のセールでのセーリングと似ている。



カイトのコントロールを覚えたら、次はバギーに乗って草原を走り回る。

最初は風下にしか走れなかったが、この日の終わりには、なんと風上方向75°くらいまで上れるようになった。

すんごい、本当に自分の乗っている乗り物が、カイトで風上に走っていくのを、カイト経験初日にあっけなく経験してしまう。
自分で経験してもまだ、信じられない。
インストラクターの先生のカイトは、トレーリングエッジ(カイトの後ろ側。飛行機で言えばフラップにあたる部分、セールで言えばリーチ)のコントロールができるせいもあって、もっと高く風上に走っている。バギー用に用意された四角い走行エリアの中の隅々まで、自由自在に行き来している。



次は、いよいよ海の上に出るよ。

セーリングの未来形のひとつに挑む

2010年11月16日 | 風の旅人日乗
ISAF(国際セーリング連盟)とIOCが、2016年リオ・オリンピックのセーリング種目の検討を始め、その一つとして、カイト・ボードを採用する可能性について、研究を進めるのだという。

そのニュースを聞く前から、今回のニュージーランドでは、カイト・セーリングに挑戦することにしていた。

すでにサンフランシスコやエーゲ海では、カイト・ボードによるコースレーシング(当然、風上マークに行くレグもある)も行なわれている。雑誌で読む限り、上り角度は悪いものの、確実に風上に上って行くらしい。それでなければ風上マークに行けない。

しかし、頭の中で考えている限り、風を「受けて」空に舞っている凧を使って、風下とか横方向はともかく、風上に上って行ける、ということが、どうしても理解できない。

だが、それは、現実に地球上で起きていることだ。起きていることは否定できない。
まんず、これは、部屋の中で頭をひねっていても仕方がない。実際に身体を使って、その不思議なセーリングを経験するしかなかろう、と結論した。
将来の仕事のネタになるかも、というスケベ心も、もちろん、はい、ありますよ。

で、飛行機に乗ってニュージーランド北島のオークランドを飛び立ち、クック海峡を渡って、南島のクライストチャーチに向かったら、



するとそこでは、南半球のカイト・セーラーたちが、日本からのセール・セーラーを、大挙して待ってくれていたのだった。