ニュージーランド日記 ポフトゥカワ

2010年11月23日 | 風の旅人日乗
ロイヤル・ニュージーランド・ヨットスコードロン主催のウエンズデイナイト・レースの日、集合時間が近づく夕方5時前、ウエストヘイブンのマリーナで駐車する場所を焦って探していたら、早咲きのポフトゥカワの木を一本発見。



もうしばらくすると、この国のいたるところでこの花が咲き始め、12月に入ると満開になって、この、緑と赤のクリスマスカラーの木々が、この国の初夏を彩るようになる。



バイアダクト・ハーバーのKZ-1にも、早くもクリスマス・モードのお飾りが付けられた。

ニュージーランド日記 アオテアロアで日本のアメリカズカップ挑戦を考えること

2010年11月23日 | 風の旅人日乗
朝6時に市内のホテルを出て、日本に帰る友人を送ってオークランド空港まで行った後、空港のマックでコーヒーを買って、空港近くの丘に登る。
その丘の頂上からはオークランド市が一望でき、かつては頂上に大きな松の木が一本立っていて、それで「ワン・トゥリー・ヒル」という名前が付けられた。
数年前にその松の大木が枯れたため切り倒されてしまい、今は実際はノー・トゥリー・ヒルになっている。

遠い昔、セールデザインの勉強をするためにこの国に来た日、空港まで迎えに来てくれた先生のトム・シュネッケンバーグが、この丘に車で登ってくれてオークランドの風景を見せてくれた。
当時すでにセールのデザインと分析にコンピュータを本格導入し、アメリカズカップで最先端のラジアルカットのセールを開発してその道では非常な有名人だったトムの車のドアのウインドウが壊れて動かなかったことと、シープ(羊)という英語には複数形がなく、メニー・シープスとは言わないんだよと教わったことを、この丘に来るたびに思い出す。

そのトムは、第33回アメリカスカップで在籍していたアリンギから離れ、次回2013年の第34回アメリカズカップに挑戦するスウェーデンのアルテミス・レーシングに、数週間前に移籍したばかりだ。

その丘で時間調整をした後、オークランド市内を抜けて北上し、ワークワースという町に向かう。





約束の時間よりも早く着いたので、しばらく川沿いの公園を散策する。



何年も前から、この町のこの公園は、ボクのお気に入り。



時間を見計らって、目的地のある通りの、目的地の住所へ。



ここで、第34回アメリカスカップの、2011年の予選シリーズと、2012年からのユース・アメリカスカップに使われるAC45クラスという、ウイングセール付きのカタマランが制作されている。



入り口のドアを開け、名刺を出す準備をしながら、少々緊張して受付のブースに接近する。
そのブースに座っている女性がボクの顔を見て目を見開いている。
あれ? なんか見覚えのある顔だぞ。

その受付にいたのは、遠い昔、トム・シュネッケンバーグにワン・トゥリー・ヒルに連れて行ってもらった後、ホームステイ先としてボクをオークランド市内の自宅の前で待っていてくれたノーリーンだった。

なんという偶然なのだろう。
ノーリーンは当時ノースセール・ニュージーランドの経理担当として勤めていた。
ノーリーンの旦那は、ニュージーランドでの生活に溶け込もうとしているボクをいつもパブやラグビー観戦に誘ってくれて、仲間内でパブで飲むときのしきたりとか、ラグビーのプレーの見所とか、ニュージーランドで生活するうえでためになる、いろんなことを教えてくれた。

懐かしいなあ。

しばらく彼女との昔話を楽しんでから、ここコアビルダーズの責任者のティム・スマイスと相棒のマーク・ターナーと、1時間強、真面目な話をした。

日本からのアメリカスカップ挑戦は、防衛者から強く望まれている。
このことを、日本のリーダー候補者たちに伝えるために、ボクはここまで来て、彼らの言葉を証拠として聞き出したかったのだった。


ニュージーランド日記 アオテアロアの南島で初対面の人々の温かい心に触れること

2010年11月23日 | 風の旅人日乗
今回アオテアロア南島で過ごした時間は、それがわずか足掛け3日だったとは思えないくらい密度の濃い、人々との触れ合いの時間だった。



こちらは将来のビジネスの可能性のひとつを探るつもりで訪問したのに、相手は、古くからの友人を迎えるかのように温かい笑顔で待っていてくれた。
その町に着くや否や、社員全員がファミリーのようなその会社の社長の誕生日を祝う、サプライズパーティーに連れて行かれた。
現代という時代にやすりを掛けられてギスギスしている日本人野郎には、正直それは少し面倒くさいような誘いだったが、行ってみると、町の公民館のような建物で催されたそのパーティーは、とても温かだった。
遠い昔、玄界灘に面した漁村の公民館で催されていた子ども会主催の、質素だったが母親たちの心のこもったお誕生会を唐突に思い出して、涙ぐんだりもした。

それから先の2日間は、常に彼らの笑顔と温かい気持ちに触れながら過ごした。

決して裕福ではないけれど、それほど惨めな生活でもなく、こんなに豊かな笑顔のままで生きることができている人たちが、セーリング業界の一隅にいる。
嘘もなく策略もなく、真面目に、真面目に仕事に取り組むことで、きちんとビジネスを成り立たせている。
こんな人たちと、持ちつ持たれつの関係で仕事ができれば幸せだ。



彼らとの仕事がうまく行って再訪できることを願いつつ、クック海峡を渡って北島に帰る。
窓越しの写真にするとよく見えないけど、手前が南島北端、ワインで名高いマルボロ地方。遠くの雲の下に、北島、ニュージーランドの首都ウエリントン。