サバニと満月

2011年10月14日 | 風の旅人日乗


上部組織の急な方針転換のあおりを受けて
先月突然のように閉館した博物館に取り残された
サバニに油を塗りに行く。



担当者と話し合い、少なくともその担当者が
職を解かれるまでは、
ワタクシたちチームニシムラのメンバーが
定期的にサバニに油を塗る作業を続けることが、
かろうじて認められた。



いつものように、村橋さん、佐々木さんが
馳せ参じてくれる。
村橋さんは、たぶん徹夜で仕事を片付けて、
佐々木さんは、朝早い病院で腰のリハビリを終えてから、
ワタクシもこの日は午前12時に起きて仕事を片付けてから、
ある朝、都内某所に集合。



博物館の床にあおむけになって寝そべり、
平らな船底に手を伸ばして油を塗りこんでいると、
このサバニを造った下門龍仁さんの手による
ほとんど同型の別のサバニで、
チービシの横を、サーフィングに次ぐサーフィングで
那覇港のフィニッシュを目指した何年か前のサバニ・レースのことが
思い出される。
この船底の、このカタチだから、
あんなに素晴らしいサーフィングができるんだなあ。


昨今のでたらめなこの国の政治のことを思いながら
このサバニに触れていると、
唐突に、
「国破れて山河あり」
という杜甫の詩の一節が頭をよぎった。



作業が終わって三浦半島に帰り、バスを降りたら
森戸川の橋の上に満月。



国破れて山河あり。