新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

米国の思惑を聞く力で軍事国家に邁進する岸田文雄

2022年05月24日 12時16分51秒 | 岸田文雄

米国のバイデン大統領が訪日し岸田文雄と日米首脳会談を行った翌日の在京大手紙の社説をチェックしてみた。
 
■朝日新聞「日米首脳会談 対中 力に傾斜の危うさ

ロシアの侵略に正当性は全くないが、北大西洋条約機構(NATO)など西側諸国が、ロシアを巻き込んだ秩序づくりに成功していれば、違った展開もありえただろう。互いの意思疎通を欠いたまま、包囲網ばかりを強め、力に傾斜した先に何が起こりうるのか。欧州の歩みからくみ取れる教訓もあるはずだ。
 滞りがちなハイレベル対話を軌道にのせる。偶発的な軍事衝突を避ける海空連絡メカニズムの構築を急ぐ。日米同盟が基軸で、防衛力の着実な整備が必要だとしても、単に追随するだけではない、日本自身の主体的な対中政策が問われている。

 


朝日新聞の政治部のハシャギぶりも顰蹙ものであった。


■毎日新聞「岸田・バイデン会談 日本が外交力を示す時だ」 

ウクライナ侵攻は、米国の国力が低下し、中露との大国間競争が激化する中で起きた。甚大な人道被害をもたらし、世界の格差を一段と拡大させている。
 対立が紛争へと発展するのを防ぎ、競争関係にある大国同士でも共存できるルールに基づく秩序を地域や世界でどう構築するか。そのためにこそ日米はリーダーシップを発揮すべきだ。


 
米国追随型の岸田文雄内閣では、残念ながら「日米はリーダーシップを発揮すべき」というn日米を同列に論じることには無理がある。
 
■讀賣新聞「日米首脳会談 揺るがぬ同盟で国際秩序守れ

ロシアのウクライナ侵略は、専制主義国家に対する抑止力確保の重要性を印象づけた。東アジアで一方的な現状変更を許さないように、米国の抑止力を同盟国の安全のために有効に機能させることが不可欠である。
 同時に、日本自身のさらなる防衛努力によって、ミサイル攻撃などへの対処能力を向上させることが課題となる。「防衛費の相当な増額を確保する決意」を表明した首相の指導力が問われよう。


 
日本の「防衛費の相当な増額」とは、安倍晋三が以前トランプから米国製の戦闘機などを米国の「言い値」で爆買いさせられた金額以上の額となり、米国の軍需産業がますます儲かり、バイデンが喜ぶのも当然であろう。
 
全国紙ではないローカル紙はもっとストレートな論調であった。
 
■東京新聞 「日米の防衛力強化はもろ刃の剣…周辺国の軍備拡張招く恐れ 『外交なければ戦争を防げない』」 
  

                       【東京新聞より】
          

◆防衛費「相当な増額」を伝達
 「ロシアのウクライナ侵略のような力による一方的な現状変更を東アジアで許さぬよう、日米同盟のさらなる強化が不可欠だ」
 首相は日米首脳会談後の共同記者会見で力説。バイデン氏に対して、年末に予定する国家安全保障戦略などの改定で敵基地攻撃能力の保有を検討していること、防衛費の「相当な増額」の決意を固めたことを伝達したと明らかにした。
 会談で「強く支持する」と応じた傍らのバイデン氏は「非常に評価する。強い日米同盟がこの地域に良いことをもたらし、平和と安定が台湾海峡でも東・南シナ海でも持続すること、そして北朝鮮を抑止することを期待する」と満足そうな表情を浮かべた。
 会談後に両国が発表した共同声明には「同盟の抑止力及び対処力を強化することへのコミットメント(関与)を新たにした」と明記。日本が「盾」として自国防衛に徹し、米国が「矛」である打撃力を担うというこれまでの役割分担を見直し、ともに地域の安全保障に関わる意思を鮮明にした。
 ◆バイデン氏の支持で既成事実化狙う?
 今回の合意は、日米それぞれの思惑が重なり合った結果でもある。
 首相が目指す防衛力強化は、自衛隊による相手国領域内への攻撃も選択肢から排除しないなど、戦後堅持してきた抑制的な安保政策の転換につながる内容だ。「平和の党」を自任する公明党だけでなく、自民党内にも慎重論は残り、野党の反発や世論の懸念は根強い。早い段階でバイデン氏の支持を取り付けることで議論の流れを決定付け、既成事実化する狙いも透ける。
 一方、米国は「最大の戦略的競合国」と位置付ける中国の増長を阻止するのが最重要課題だ。トランプ前政権以降、経済的な締め付けを通じて覇権主義的な行動を抑え込むことに注力してきたが、ロシアのウクライナ侵攻を機に「世界で力による現状変更が横行する」(ブリンケン国務長官)という危機感と、台湾有事への警戒感が強まっている。バイデン政権内からは、東アジア情勢について「安全保障が難しくなっており、日本の重要性は高まっている」(国家安全保障問題担当のサリバン米大統領補佐官)という本音も漏れる。
 だが、両国がそろって力に力で対抗することに傾倒すれば、周辺国の疑心暗鬼を招く恐れを否定できず、もろ刃の剣ともいえる。
 元防衛官僚で安保担当の内閣官房副長官補を務めた柳沢協二氏は「(軍事力による)抑止は万全ではない。外交がなければ戦争を防げないことを認識すべきだ」と指摘する。


  
全く忖度のかけらもない夕刊紙はもっと核心をついていた。
 
首相も大メディアも大ハシャギ 異様なバイデン大統領の来日狂騒」(日刊ゲンダイ)
 

■基地からの入国は主権の蹂躙
基地からの出入国には入管法が及ばない。トランプ前大統領に続き、バイデンも横田基地から入国したのは、主権国家として扱われていないも同然なのだ。わが国に軍基地から入ってくるなんて米国以外にない。国家主権を蹂躙され属国扱いされているというのに、国民はすっかり慣れて何の疑問も抱かなくなってしまった。それは大メディアが問題提起する気もなく、PR屋に堕しているからだ。
 ロシアがウクライナに侵攻してからというもの、日本の大メディアは過剰な戦争報道で米国のやることなすことを正当化してきた。わが国の法規を逸脱してでも、米国とNATOが後押しするウクライナを支援することが正しいという世論が醸成され、防衛省が所有する防弾チョッキやドローンなどの提供も、冷静な議論がないまま決まっていった。本来、「防衛装備移転三原則」は紛争当事国への供与を禁じているのだが、政府は運用指針を急いで改定し、ウクライナを特例にしたのだ。
 もちろん、ロシアの蛮行は許容できるものではないが、米国と歩調をそろえるためなら何でもアリでいいのかといえば、それはまた別の話だ。

■米国の思惑に組み込まれて自国を危険にさらす愚
 米国は、この戦争を自国の利益に最適化しようとしている。戦争が長引けば軍需産業が儲かり、ロシアは弱体化する。それを自国軍隊の犠牲を払わずに実現できるのだから、こんなうまい話はない。必ず、対中国戦略にも応用してくる。
 実際、米軍のマーク・ミリー統合参謀本部議長は今年4月の公聴会で、中国が実力行使に出た際の台湾有事に関してこう答弁している。
「台湾の防衛は台湾人自身が行う。台湾は防衛が可能だ。われわれは今般のウクライナと同様な形で台湾を助けられる。ウクライナからは、実に多くの教訓を得た」
 ロシアを中国、ウクライナを台湾に置き換えると米国の考えていることが分かる。核大国と真っ向から戦争する気はなく、代理戦争が自国の利益になる。米軍の派兵はしないが武器は供給する。中国との対立が先鋭化すれば、前線は台湾か日本ということだ。
 そういう思惑を理解していないわけではないだろうが、岸田はバイデンの来日に舞い上がり、日米の緊密な関係の確認に躍起なのだ。
 クアッドに加え、米国が急にブチ上げたIPEFも貿易や供給網、インフラ・脱炭素、反汚職などを柱としたアジア諸国による新たな中国包囲網の枠組みだ。
 かつてはTPPをゴリ押しして日本に大幅な譲歩を突きつけたのに、トランプ前大統領は勝手に脱退してしまった。その後始末もないままで、バイデンは新たな枠組みをつくると言い出した。提携国間の関税引き下げなどは盛り込まれず、参加することにどんな経済的メリットがあるのか分からないのだが、日本はイの一番に手を挙げてお追従である。
■アジアで日本だけが異質
「米国と日本では、地理的にも経済的にも立場が違います。最大の貿易相手国である中国を排除すれば、日本経済は成り立たない。とにかく米国と一体化することが国益のような大メディアの報道は、あまりに表層的で危ういと感じます。米国の対中包囲網に組み込まれた結果、東アジアの緊張感を高めて日本や台湾がウクライナのような戦場になれば、苦しむのはその国民です。米国の核の傘が機能しない可能性もあるのに、日米同盟の結束を打ち出すことだけに躍起な外交ショーに浮かれている場合ではない。ウクライナをめぐる大メディアの報道によって、日本人はG7を中心に世界が動いていると信じ、ロシア制裁を強めるG7の価値観が唯一の正しい選択だと思い込まされていますが、現実は違います。アジアでは、G7やNATOに盲目的に追随しているのは日本だけなのです」(元外務省国際情報局長の孫崎享氏)
 22日までタイ・バンコクで開かれていた、APEC(アジア太平洋経済協力会議)貿易相会合でも、日米両国は共同声明案にロシアを強く非難する文言を盛り込もうとしたが、参加国の立場は一致せず、共同声明は発表できなかった。
 ロシアのウクライナ侵攻で世界は一変したと言われているが、そんな単純なわけがない。米国の意向に従い、国際社会が対ロ制裁で一致団結しているわけではないのだ。
共同声明の発表を見送ったAPECは議長国タイの議長声明でお茶を濁すことになりましたが、そのタイは今回のAPECを機にロシアとの貿易拡大を決めています。そもそもG7加盟国でなくアジア諸国はロシア制裁に参加しておらず、日本だけが特異な立ち位置になっている。何でも米国の言いなりでは、米国の属国としか見られません。それは決して日本にとってプラスではなし。主権国家ならば、自国の事情に応じた外交を展開すべきです」(孫崎享氏=前出)
 クアッド首脳会議に出席するオーストラリア労働党のアルバニージー次期首相は、21日投開票の下院総選挙で与党・保守連合を破って9年ぶりの政権交代を果たしたばかり。オーストラリアも米国の核の傘下にあるが、核兵器禁止条約を批准すると公約して総選挙に勝った。
 昨年発効した核兵器禁止条約は世界61カ国が批准しているが、唯一の被爆国である日本は米国に配慮し不参加を決め込んでいる。被爆地の広島選出を売りにしている岸田も、米国には何も言えず付き従うだけだ。
 日米同盟の強化が絶対的な正義のように報じる大メディアは、思考停止に陥っているように見える。米国の国益のために、日本が危険にさらされても構わないというのか。何が国益なのかを冷静に議論する気すらない。トチ狂ったメディアの末期症状をバイデン訪日の狂騒曲が象徴している。


 

 
 
ところで、千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中の高野孟は、ウクライナのゼレンスキー大統領の思惑とは異なり、米国はあくまで「ロシアの弱体化」を目指すことが目的のためロシアとの交渉に入ることはなんとしても阻止しようとする米国バイデン大統領の魂胆を見抜き、ゼレンスキーらの動きの最大の妨害者は米バイデン政権であると喝破していた。
 
ウクライナ停戦を200億ドルの武器援助で妨害する『死の商人』バイデンの姑息」 
 

■戦局膠着下で始まった「とりあえず停戦」の模索/ウクライナで再び戦闘を再燃させないための知恵を!
ロシア軍のウクライナ侵攻から3カ月、5月20日に至ってマリウポリのアゾフスタリ製鉄所に立て篭っていた「アゾフ大隊」が制圧されたことで、階段の踊り場のような一時的な戦闘膠着場面を迎えている。ここが1つの分かれ目で、とりあえずの停戦合意が成って後のことは交渉を通じて解決を図ろうという気運が生じるのか、そうはならずに再び泥沼の戦闘長期化へと転がり込んでいくのか、今後の流れが方向付けられることになろう。
マリウポリは、ここ1カ月ほどの間、戦局全体の焦点であるかに毎日のように報じられ、その理由をメディアはロシアがドンバス地方から要衝マリウポリを経てクリミア半島までのアゾフ海沿岸を「回廊」として確保することを狙っているなどともっともらしく解説してきたが、それは米国の扇動的なシンクタンクなどが無責任に流している誇大な憶測にすぎない。マリウポリからクリミア半島の根元までは1,500キロほどもあり、それだけの帯状の陸地を占領・支配するのは容易なことではないし、今のロシア軍にそれを成し遂げる体力は残っていない。
そうではなくて、本誌4月18日付No.1150「頭の体操(6)」でも述べているように、ここを発祥地・本拠地とする「アゾフ大隊」がそこから出撃してドンバス地方のロシア系住民に対する〔プーチンの言い方では〕ジェノサイドを繰り返してきたことへの報復と再発防止が作戦目標であり、それが達成されたのだから、「アゾフ大隊」制圧の事実は今が踊り場の場面と判断する重要な材料となるのである。
■交錯するそれぞれの思惑
ロシアの「特別な軍事作戦」の中心的な戦略目的は2つで、第1に、ウクライナから独立し今年2月にロシアへの編入を果たしたドネツク、ルガンスク両共和国の確保であり、第2に、2014年に併合したクリミア共和国およびその突端にあるセバストポリ特別市を奪還するためにウクライナがNATOに加盟しようとすることを阻止することである。
クリミアとセバストポリの併合については半ば既成事実化することに成功しているが、ウクライナがNATOに加盟し米国が同国の防衛政策を自在に操ることになれば、セバストポリはロシア黒海艦隊ではなくNATO海軍の基地となり、黒海・地中海のみならずロシアをめぐる地勢均衡を激変させることになろう。
クリミアの場合のように、鮮やかな短期決戦でドネツク、ルガンスクの確保に成功すればよかったのに、今回は、本誌前号でも分析したように、事前の外交・情報戦でも本番の軍事侵攻作戦でも余りにお粗末な誤算や見落としや行き過ぎを繰り返して失敗した。従って明らかな劣勢に立って事を収めなければならず、それがどうしたら可能なのか恐らくプーチンも計算が立たない深刻な状況ではないか。
■ゼレンスキーは「引き分け」演出か?
さて、ゼレンスキー大統領は21日、地元メディアのインタビューに答えて「ロシア軍を2月24日の侵攻開始前の状態まで撤退させられれば勝利だ」との認識を示した(読売電子版21日付など)。彼は「戦争は対話で終わる」「最も重要なのは、より多くの人命を守ることにある」南部クリミアや東部の親露派武装集団が実効支配している地域の地位についても交渉で解決したい」などと、泥沼戦争を打ち切って交渉に切り替えたい考えを述べた。
とはいえ、ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長は米紙のインタビューに応じ、「東部の被占領地を今後数カ月かけて奪還し、南部クリミアも含め全ての領土からロシア軍を撤退させるまで戦い続ける」と語り、そのために米欧が中長距離のミサイルシステムや戦闘機など最新兵器を含め軍事支援を強化するよう期待を表明した。
軍部としては、あくまで軍事力でロシア軍を追い返して東部を奪還したいと思うのは当然で、それを交渉を前提に政治力で成し遂げようとするゼレンスキーの企図とはぶつかることになる。
ゼレンスキーがそれだけの政治力・外交力を持ち合わせているかどうかは疑問であるけれども、彼は終始一貫、ウクライナのNATO加盟については断念し、他の方法による同国の安全確保を考えるのにやぶさかではないとの考えを表明してきており、そこを起点にしてロシアおよびフランス・ドイツ・トルコなどの仲介者との対話が始まる可能性はわずかながら残されている。
■米国はあくまで「ロシアの弱体化」を目指す
こうしたゼレンスキーらの動きの最大の妨害者は米バイデン政権である。同政権は19日、第2次大戦後に前例がないと言われる総額400億ドル(5兆2,000億円)のウクライナ追加支援の予算パッケージを議会に承認させた。これにはウクライナへの武器・機材供与、難民支援、核エネルギーの法的・技術的支援、緊急食料支援、経済支援からなり、さらに戦争犯罪捜査・記録、ロシアの侵略関与の人物の特定と資産接収など、およそ思いつく限りの項目すべてが含まれている。が、肝心なのはその半分の200億ドルを占める軍事援助で、そこに、世界各地で軍事的危機を煽り立てながら自国軍は派遣せずに高額兵器を注ぎ込むというバイデン政権の「死の商人」ぶりが顔を覗かせている。
この新たな軍事支援が届き始めるのは6月で、ウクライナの軍部強硬派はそれを待ってロシア軍への「反転攻勢」に出ることを予定している。
米国としては、ゼレンスキーがNATO加盟断念を鍵穴としてロシアとの交渉に入ることはなんとしても阻止したいので、そのためにも急ぎフィンランドとスウェーデンのNATO加盟を実現して、彼が動きにくい環境を作った。
こうして米国があくまでもロシアの「弱体化」、ということはすなわち「世界舞台から追い出す」(前号参照)という凶暴な目標を掲げて突き進むのである以上、ウクライナはそのカードとして振り回され続け、結果的に長期にわたる戦争状態が続くことになる。
そうさせないための知恵は、仏独をはじめ欧州や、BRICSの枠組みを共有するインド、ブラジル、南アフリカやASEANなど昔で言う非同盟諸国から湧いてくることを期待するしかない。何があっても米国の尻を追いかけ回すことが安全保障だと勘違いしている日本は、その21世紀的潮流の形成とは無縁である。

日本の大メディアは過剰な戦争報道で米国のやることなすことを正当化してきおり、「防衛装備移転三原則」も有名無実となっている。
 
さらに、「死の商人」バイデンのご機嫌を取るために国会承認もなしに現在の防衛費を2倍の10兆円に増額するという岸田文雄内閣は、本気で軍事国家に突き進もうとしていることが明確になってしまった、とオジサンは思う。


  
 

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