12月21日の「毎日新聞」に、タイで大量の北朝鮮製武器が押収されたという記事がありました。
今日24日の同紙の北朝鮮関係の記事も気が重くなります。
内容は、「ロシアのアムール州に出稼ぎ労働などで滞在していた北朝鮮の男性計12人が今年9月、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の支援で韓国に亡命していたことが23日分かった」というもので、「北朝鮮労働者らの集団亡命が起きたのは初めて」とのことです。
しかし、シベリアの森林伐採所への北朝鮮労働者の派遣は30年も前からで、日本でも「北朝鮮労働者のシベリア脱出記」(三一書房.1994)という本も刊行されています。その内容紹介には「本当にこんなことがあるのか。この地球で最も悲惨な人々―それは、シベリアの北朝鮮労働者であり、かつそこから脱出し、シベリアの大地を這いまわる人々だ」とあります。
また、<北朝鮮を分析してみよう>というブログの9月1日の記事では、イギリスのBBC放送がシベリアの伐採所で働く北朝鮮労働者たちについて取材・報道した内容を紹介しています。
それによると、北朝鮮の伐採労働者は過酷な自然環境の中で「獣のように働く。彼らの休日は1年に僅か2日、金日成と金正日の誕生日だけである」。また「零下30度まで下がるシベリアの酷寒の中で、数え切れないくらい怪我をしたり死んで行く」としながら、「これに耐え切れなくて、過去20数年間に数千人が伐採所から脱出して、ロシアに隠れて住んでいる」とのことです。
また今年、チェコの縫製工場で働く北朝鮮の女性労働者についてのニュースが流されました。
90人の労働者には北朝鮮の監視員がついて回り、稼いだ金のほとんどは北朝鮮に送金しなければならないことから、欧州のマスコミは彼女たちを<21世紀の奴隷>と報じ、チェコ政府は結局ビザ発給を中断して帰国させたとのことでした。
これも同様の報道はすでに2006年にもありました。あるブログによると、「労働者たちの生活は、宿舎と工場の行き来のみで、外部との接触はほとんどなく、給料はチェコの労働者の半分ほどの月400ドル程度だという。しかし、最近になってチェコ政府は、労働者の給料の大部分が北朝鮮政府に入金されていることを確認し、北朝鮮労働者に対する新規ビザの発給を全面的に中断しているという」ということでした。
同じく2006年、別のブログでは「毎日新聞」の記事を紹介していて、それによると、「欧州議会によると、北朝鮮からの派遣労働者はチェコ、ポーランドで確認されているほか、中東やアフリカ、ロシアも含めると全世界で1万~1万5千人に上ると推定されている。・・・ポーランドの造船所で働く男性労働者の場合、給与は北朝鮮の国営会社に直接振り込まれ、労働者の手取りは全額の3~4割である」とあります。
ウィキペディアによると、この他にモンゴル、リビア、サウジアラビアなどに労働者を派遣しているとか・・・。やはり「労働者の給料の大半は北朝鮮当局に支払われており、労働者は北朝鮮の監視を受け生活圏外への移動の自由もない」とあります。
以前12月5日の記事で少し記した冷麺レストランの従業員、あるいは私ヌルボが長白山(白頭山)に行った時に泊ったホテル内の北朝鮮レストランの従業員たちもおおよそ同じ状況にあるとみて間違いはなさそう・・・。
資本家・地主の搾取からの解放を旗印にしていたはずの社会主義の理念は、建前さえもとっくに失われてしまっている・・・そればかりか、特権階級が党と国家の名で搾取している、という悲惨な構図になっているようです。