韓国の教科書はすべて国定教科書制度になっていると思っていたら、近年統制が緩和されてきているようで、科目にもよりますが、初等学校と中学の国語、社会の国史、道徳などを除いて検定制度に移行しているようです。
3年ほど前、地下鉄鍾閣駅近くの大型書店永豊文庫に行ったのですが、地下売場に、初等~高等学校の教科書売場があって、各科目の内容とレベルがどんなものか興味を持って見てみたことがありました。
その時購入して今ヌルボの手許にあるのが高校音楽の教科書。世光音楽出版社2002年3月発行、2007年3月3刷発行という検定済教科書です。
この教科書を購入した理由は次の通りです。
①最初に国歌(「愛国歌(애국가)」の楽譜と歌詞が載っている。(これは他の教科書も同じだと思いますが・・・。)
②多くの日本人も知っている歌がいくつも載っている。
③韓国の伝統音楽の楽譜や、解説が載っている。伝統楽器の演奏法等についても載っている。
④韓国人の作詞・作曲による歌曲等が載っている。
⑤「新年の歌(새해의 노래)」「三一節の歌(삼일절 노래)」「制憲節の歌(제헌절 노래)」「光復節の歌(광복절 노래)」「開天節の歌(개청절 노래)」「ハングルの日の歌(한글날노래)」の歌詞と楽譜が載っている。
具体的にいえば・・・
②については、たとえば「ブラームスのワルツ」、ベートーベン作曲「汝を愛す」、カプア作曲「オーソレミオ(오! 나의태양)」や「帰れソレントへ(도라오라 소렌토로)、「グリーンスリーヴズ」、そして「ウェストサイド物語」中の「Tonight」やミュージカル「Cats」中の「メモリー」そしてプレスリーのヒット曲「Love Me Tender」等々があります。
「ブラームスのワルツ」や「汝を愛す」、「オーソレミオ」、「グリーンスリーヴズ」等には韓国語歌詞がついています。歌ってみたくなりますねー!!(って思うのはヌルボくらい?)
③については「江原道アリラン」、「新・天安サゴリ」、等々。関連してチャングのたたき方や<オッケチュム(肩踊り>の踊り方等も載っています。済州島は漁業関連の歌が多いとか、黄海道・平安道は激情的で鼻にかかった声で歌うとかのように、韓国各地の民謡の説明もあります。
④については、ヌルボの好きな金素月作詞の「昔話(옛이야기)という歌が収められています。
・・・というわけで、これで1820ウォン、いい買い物をしたなあ、とホクホク顔で帰ってきました。
で、あらためて目次を見ていて気がついたのですが、それぞれの曲名の後に<다장조(タ長調)>、<가단조(カ短調)>、<사장조(サ長調)>、<라단조(ラ短調)>等のように表記されているのですよ。
楽譜と照らし合わせてわかったことは、日本の「ハ・ニ・ホ・ヘ・ト・イ・ロ・ハ」という音名が韓国では「다・라・마・바・사・가・나・다(タ・ラ・マ・パ・サ・カ・ナ・タ)」と表わされるということです。
つまり、日本でいう<ハ長調>は韓国では<タ長調>、<ニ短調>は<ラ短調>になる、というわけです。
音楽はたまたま私ヌルボが興味のある科目ということで見てみたのですが、他の科目についても日韓の比較をしてみるとおもしろいかもしれません。(歴史教科書の比較ばかり突出していますが、それはそれとして・・・。)