ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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「オールタイム・ベスト 映画遺産200」の中の韓国映画

2010-01-09 23:56:54 | 韓国映画(&その他の映画)
 キネマ旬報社が先月(12月)発行した「オールタイム・ベスト 映画遺産200」を読んでいて、時の経つのを忘れてしまいました。
 「外国映画篇」と「日本映画篇」の2冊に分かれていますが、当ブログの性格上「外国映画篇」についてみてみます。

 映画監督・評論家・文化人・読者が選んだ207作品を取り上げて説明等をつけていますが、中でも1位から10位に入ったのは以下の映画。(5位は2作品、10位は9作品が同点)

①ゴッドファーザー②ウエスト・サイド物語②タクシー・ドライバー④第三の男⑤勝手にしやがれ⑤ワイルドバンチ⑦2001年宇宙の旅⑧ローマの休日⑧ブレードランナー⑩駅馬車、天井桟敷の人々、道、めまい、アラビアのロレンス、暗殺の森、地獄の黙示録、エル・スール、グラン・トリノ

 これまで、キネマ旬報社は10年おきくらい(?)で同じような趣向のもの出してきましたが、今回は順位が振ってあるのはベスト10のみ。時代が下るにつれて当然映画の累積が膨大になってきて、映画評論家やファンが掲げるベストテンもあまり(ほとんど?)ダブらなくなってきている、という事情があるのかもしれません。

 おこがましくも私ヌルボも映画ファンのハシクレとしてベストテンを考えてみました。ちなみに、上記の①~⑩の18作品は全部観てます。が、当方のベストテンにも入れたのは1つだけです。

   [ヌルボの外国映画・私的ベストテン](公開年順)
我輩はカモである(1933.米)、2001年宇宙の旅(1968.米・英)、友だちのうちはどこ?(1987.イラン)、芙蓉鎮(1987.中)、神様こんにちは(1987.韓)、ニュー・シネマ・パラダイス(1989.伊)、風の丘を越えて 西便制(1993.韓)、ショーシャンクの空に(1994.米)、アンダーグラウンド(1995.仏・独・ハンガリー)、ダークナイト(2008.米)

 うーむ、やっぱり10本に絞るのは無理があるし、まあ公的なブログでもないからあと10本追加しちゃいます。

カサブランカ(1942.米)、赤い河(1948.米)、誓いの休暇(1960.ソ連)、スティング(1973.米)、ラジュー出世する(1992.インド)、イル・ポスティーノ(1994.伊)、運動靴と赤い金魚(1997.イラン)、ノー・マンズ・ランド(2001.仏・伊・英・ベルギー・スロヴェニア)、世界最速のインディアン(2005.ニュージーランド・米)、グラン・トリノ(2009.米)

 こうしてみてみると、アメリカ映画が少なめですかねー。

 評論家も若い世代の人たちが増え、リアルタイムで戦前の映画どころか、1950年代(あるいは60年代)の映画も観ていない人もふつうになってきました。したがって、歴代ベストテン最上位に「天井桟敷の人々」「大いなる幻影」「第三の男」が並ぶという時代ももう終わったかな、という感じですね。

      「映画遺産200」に韓国映画9本が入る

 さて、「世界遺産200 外国映画篇」にあげられている207作品の中の韓国映画を拾ってみましょう。
古い順から並べると、次の通りです。

・キム・ギヨン「下女」(1960年)
・イ・チャンドン「ペパーミント・キャンディー」(1999年)
・キム・ギドク「魚と寝る女」(2000年)
 ・チョンジェウン「子猫をお願い」(2001年)
・キム・ギドク「悪い男」(2001年)
・イ・チャンドン「オアシス」(2002年)
・ポン・ジュノ「殺人の追憶」(2003年)
・ポン・ジュノ「グエムル・漢江の怪物」(2006年)
 ・ポン・ジュノ「母なる証明」(2009年)

 「下女」(1960年)だけが50年前と、とびぬけて古い年代です。実はヌルボも最近までこの映画のことを知りませんでした。ところが、スコセッシ監督の支援で韓国映像資料院がデジタルで復元、2008年カンヌ映画祭で公開されて、国際的な注目を浴び、制作50周年に当たってイム・サンス監督によってリメークされることになったということで、今日のKBSラジオでも報じられていました。チョン・ドヨンイ・ジョンジェが主役をつとめることになったことが、最近のHP等でも伝えられています。

 「下女」以外の8作品はすべて1999年以降。
 一目見て、娯楽作品がホントに少ないですねー。かろうじて「グエムル・漢江の怪物」くらいですか? まあ、ここらへんが「キネ旬」らしいところでしょう。

 207作品の公開年を10年ごとに区切ると、
1910年代=1本、1920年代=1本、1930年代=14本、1940年代=15本、1950年代=28本、1960年代=33本、1970年代=50本、1980年代=29本、1990年代=19本、2000年代=17本
 ・・・となりますが、2000年代=17本のうち韓国映画は7本もあり、とくに最近の注目度の高さとレベルの高さがわかります。

 韓国映画をリストアップした評論家・監督等を見ると、以前からさまざまなアジア映画を紹介してきた佐藤忠男氏は3位に林権澤「曼陀羅」を入れただけで、ちょっと肩すかしをくらった感じ。
 <ゆとり教育>から身をひいて映画評論に専念(?)の寺脇研氏はなんとベストテンの全部が韓国映画! ただ、ヌルボとはシュミが合わないかも・・・。
 評論家森卓也氏と仏文学者野崎歓氏が「子猫をお願い」をあげているのは意外ですがいいですねー。
 「ゆれる」と「ディア・ドクター」でヌルボもファンになった西川美和監督は「ペパーミント・キャンディー」と「母なる証明」をあげていて、さらに好きになっちゃいました。
コメント
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