ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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センター試験韓国語の平均点148点。 難易度はかなり高いが・・・

2010-01-21 21:13:02 | 韓国語あれこれ
 今日(1月21日)の朝刊に、大学入試センター試験の平均点(中間集計)が載っていました。
外国語関係は以下の通りです。

英語    119.80
ドイツ語  152.76
フランス語 136.46
中国語   139.70    

韓国語   147.77
英語リスニング(50点満点) 29.70

 英語と比べると約28点も高く、他と比べてもドイツ語に次ぐ高得点なので、「問題の難易度が低いのでは?」と思う人もいるでしょう。

 実は私ヌルボ、今回も「朝日新聞」のサイトから問題をダウンロードして実際にやってみました。

 で、その結論は、去年11月16日の記事で以下のように記したことと全く同じです。
 「ヌルボのみるところ、ハングル検定なら3級~準2級、つまり中級レベルの問題が多く、決して簡単すぎるレベルではありません」。

 ヌルボのレベルを正直に申しますと、韓国語能力試験の方は5級の真ん中くらい、ハングル検定試験は準2級合格で、2級はどうだか、という、つまり<上級の下>といった程度ですが、それで今回のセンター試験韓国語の得点は160点くらい。すなわち正答率8割といったところでした。

 この平均点の高さから、①「他の外国語と比べて簡単すぎるのでは?」とか、②「在日にとって有利すぎる」との声がこれまでいろんなブログ等で上がっていました。

 これについてヌルボの感想は、
 ①についてはNOです。
 韓国に旅行しても困らない程度に意思疎通のできる中級レベルの人でも、150点とるのは容易ではないでしょう。ハングル検定4級、あるいは韓国語能力試験2級くらいの<初級の上>レベルだと、自信をもって正解できるのは2割にも達しないのではないでしょうか?

 ②についてはYESです。ただ、それを「不公平だ!」というのは、英語のテストで当然高得点が取れる英語圏からの帰国子女に「不公平だ!」というようなものだと思います。

 ☆大学入試センター試験・韓国語☆というサイトに、センター試験韓国語の過去のデータが載っています。それによると、各年の受験者数・平均点等は次の通りです。

[2009年] 受験者数:136名, 平均点:167.76, 最高:200点, 最低:44点
[2008年] 受験者数:142名, 平均点:143.52, 最高:200点, 最低:40点
[2007年] 受験者数:186名, 平均点:147.55, 最高:200点, 最低:36点
[2006年] 受験者数:189名, 平均点:155.29, 最高:200点, 最低:33点
[2005年] 受験者数:213名, 平均点:158.13, 最高:197点, 最低:40点
[2004年] 受験者数:174名, 平均点:153.64, 最高:200点, 最低:40点
[2003年] 受験者数:169名, 平均点:170.96, 最高:200点, 最低:28点
[2002年] 受験者数: 99名, 平均点:165.40, 最高:200点, 最低:38点

 これを見ると、今回は例年よりやや低めということになります。
 また、受験者数が意外に少ないように思いました。

 上記のサイトで、大学入試センター「試験問題評価委員会報告書」からの抜粋で、テスト問題についての「高等学校教科担当委員の意見・評価」と、「問題作成部会の見解」も見ることができます。
 2008年度以降はサイトに載っていないので2007年度のものを見てみると、次のような記述がありました。

★(2007年の)「平均点は147.6点で、一昨年に続き下がった。・・・しかし、相変わらず150 点以上の得点者が受験者の5割を占めているところをみると、今年度も受験者の大多数が韓国語母語話者若しくはそれに近い状況の受験者であったと推測できる。」

★(受験者数が2005年をピークに以後減少していることについて)「少子化の影響、そして昨今の社会情勢により民族学校の生徒自体が少なくなってきていることを考えると、今後も韓国語の受験者数の増加は期待できないかもしれない。」

★「各問題が受験者の授業学習範囲内で出題されているかどうか」の目安として「ハングル能力検定3級~準2級程度を適切な語い・文法の難易度」としている。

★高校教師側の要望として、「現在、高等学校で授業を受けている生徒も解けるようなレべルの問題をもう少し多く出題してほしい」という声が強い。「韓国朝鮮語の授業を実施している全国9割以上の学校では、対応できない難易度の高い内容になっていることを改めて実感している。」

★問題作成部会の見解は、「(韓国語の平均点と)他の外国語との点数不均衡が問題になって以来、・・・不均衡が生じないことを問題作成方針の一つとしてきた。・・・結果として難易度が上がり、高等学校教員からこのような指摘を受けることになった。」


 今、全国で韓国語の授業を受けられる高校が約300校(高校全体の約5%)、約9000人の高校生(全高校生の約0.2%)が履修しているということです。そのほとんどゼロから学びはじめた生徒で、それも多くは選択科目で時間数も英語ほど多くはありません。しかしその中でがんばって一定レベルまで達した生徒も受けられるような易しい問題にすると平均点はさらに高くなってしまうし、かといって難易度をあげると、ますます高校での「韓国語教育の現況からますます遠ざかって行く」というジレンマがセンター試験への韓国語導入の最初から続いていて、問題作成の側も当然そのことを意識しつつ、難易度のサジ加減をしている、ということですね。

[2012年1月22日の付記]関連記事を参照されたし。
○2009年11月16日<★修能の「日本語」の試験★  出題内容と難易度>
○2011年1月17日<修能の「日本語」-正解がわからないぞ~ センター試験の「韓国語」-むずかしいぞ~>
○2012年1月20日<センター試験の韓国語の難易度について - 難しいのか? 簡単なのか? これは難しいぞ・・・>
コメント (2)
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