今回は、「色絵 竹雀文 小皿(5客組)」の紹介です。
表面
裏面
代表の1枚の表面
代表の1枚の裏面
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代中期の終り~後期
サ イ ズ : 口径;10.7~11.0cm 高さ;2.1~2.4cm 底径;4.0~4.3cm
なお、この「色絵 竹雀文 小皿(5客組)」につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で既に紹介しているところです。
つきましては、その時の紹介文を、次に、再度掲載し、この「色絵 竹雀文 小皿(5客組)」の紹介とさせていただきます。
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<古伊万里への誘い>
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*古伊万里ギャラリー161 古伊万里様式色絵竹雀文小皿 (平成23年8月1日登載)
この小皿の特徴的なところは「竹に雀」文であろう。
「竹に雀」といえば、日本の昔話やおとぎ話の中に出てくる「舌切雀」という話を思い浮かべることと思う。「竹に雀」文は、おそらくその「舌切雀」から採ったモチーフであろうと思われる。
しかし、それだけに、「竹に雀」の文様だけでは一般的であって、さして珍しいものではないが、見込み部分の黒っぽい帯状の色とその中に描かれた黄色とのコントラストが印象的である。
蛇の目状に釉ハギをし、そこに濃い紫色を塗り重ねて黒に近い帯状の色を出し、その中に毒々しいほどに鮮やかな黄色い菊の花のようなものを3点描いている。
そのコントラストが鮮烈であり、この小皿をより一層特徴付けている。
江戸時代中期の終り~後期 口径:10.7~11.0cm 高台径:4.0~4.3cm
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*古伊万里バカ日誌93 古伊万里との対話(竹に雀文の小皿)(平成23年8月1日登載)(平成23年7月筆)
登場人物
主 人 (田舎の平凡なサラリーマン)
子 雀 (古伊万里様式色絵竹雀文小皿)
・・・・・プロローグ・・・・・
主人は、「押入れ帳」をペラペラとめくっていたが、何やら懐かしい古伊万里を見つけたようで、さっそく「押入れ」から引っ張り出してきては対話をはじめた。
主人: 猛暑の時季になってきたな~。それなのに、今年は、原発事故やらの影響で節電が強く叫ばれていて、クーラーのスイッチをおおっつぴらに入れるのが憚られる思いだ(>_<)
子雀: 皆さん、節電対策に取り組んでいるようですけど、ご主人の所でも何か対策を講じられたんですか?
主人: まっ、大袈裟なことはしていないが、目立ったことといえば、ゴーヤによる緑のカーテン作りをしたことぐらいかな。
子雀: 効果のほどはどうですか?
主人: うん。なかなかに効果的だ! 葉が茂って緑のカーテンになってくれて涼しいし、軒先にあるのでゴーヤの実をちょうど収穫時期に収穫も出来るしで、良い具合だ。満足しているよ(^_^)
ところで、お前はいいな~。竹ヤブに棲んでいるんだものな~。竹ヤブはいいだろう、涼しくて!
子雀: はい、涼しくて快適です! 猛暑の中だって、クーラーもいらないし、節電対策も不要です。ただ、糊を食べてしまったために、「いじわる婆さん」に舌をちょん切られたんですが、その傷が未だに痛むのがたまに傷です(涙)。
主人: そうだったよな~。日本の昔話というかおとぎ話しというか、その中に「舌切雀」という話しがあったよね~。確か、「いじわる婆さん」が障子の張り替え用だか洗濯用だかに作った糊を食べてしまい、お仕置きに舌をちょん切られたんだったよな~。
子雀: よくご存じですね(^_^)
主人: うん。昔、昔の、大昔の話しだが、私にも小学生という時代があったんだ。その小学生の時、学芸会で「舌切雀」をやったんだよ。その時に、子雀を可愛がっていた「おじいさん」役をやったのでよく覚えているんだ。男の子だったから「いじわる婆さん」役ではなく「おじいさん」役になれてよかったよ。やっぱり、「いじわる婆さん」役では後味が悪いものね~。
その学芸会で、「チ、チ、チ。チ、チ、チ。雀はどこだ!」、「チ、チ、チ。チ、チ、チ。お宿はどこだ!」と「すずめのお宿」を捜しに行った場面が忘れられないな。
そんなことで、大人になってから、「すずめのお宿」という看板を掲げた小料理屋を見つけた時は大変に懐かしく感じ、その後、時々そこには出かけて行ったもんだ。
子雀: それではよく知っているはずですね。
主人: 話しは変わるが、お前にはもう一つ思い出があるんだ。
子雀: どんな思い出でしょう?
主人: それは、お前を入手するに際してのエピソードなんだ。
私はお前を平成12年に馴染みの骨董屋から入手しているんだが、私にしては珍しく、お金を払って入手したんではなく、物々交換で手に入れているんだよ。だいたい私は、その物が好きで買っているものだから、いったん手に入った物は、余程のことがない限り私の手元を離れることはないんだが、たまたま、当の馴染みの骨董屋から申し出があって、或る物とお前とを交換することになったんだ。
子雀: その或る物とはどんな物ですか?
主人: 江戸ガラスの盃だよ。
お前を手に入れた2年程前の平成10年に、その江戸ガラスの盃は、くだんの骨董屋から買ったんだ。
江戸ガラスの盃一対だった。くだんの骨董屋は、どうせ私は古伊万里にしか興味がないんだろうからと思って、その江戸ガラスの盃一対を私に見せたんだよね。万が一にも私が買うことはあるまいと思って・・・・・。
くだんの骨董屋としては、めったに手に入らない良い仕入れをしたので、嬉しくなって、ついつい私に見せちゃったんだろうね。
ところが、急に私が買うと言い出したもんだから、やむなく売らざるをえなくなったわけさ。 くだんの骨董屋としては、それから、ず~っと、「残念だった。もっと高く売れたはずだ。儲けそこなった!」と思っていたんだろうね。
それで、ほとぼりの冷めた頃を見計らって、お前とその江戸ガラス盃一対とを交換しないかと提案してきたわけだ。
私としては、ガラスに執着心があるわけではないし、お前の、「竹に雀」という文様には懐かしい思い出もあるし、特に、お前の見込みに描かれた黒っぽい帯状の色彩と、その中に描かれた鮮やかな菊花(?)文の黄色い色彩との鮮烈なコントラストに目を奪われ、「これは、金銭的には損な取引だな~」とは思ったけれど、交換の申し出に同意することにしたわけさ。
子雀: 損をしてまで私を手に入れてくれてありがとうございます。
主人: 礼を言われるほどのことではないが、やはり、骨董は、それぞれ好きな人の所に行ったほうが幸せだと思うよ。江戸ガラスの盃だって、今頃は、ガラス好きなコレクターのもとで幸せに暮らしていることだろう。
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