今回は、「李朝 白磁碗」の紹介です。
この白磁碗は、昭和58年(1983年)に、今から41年前に買ったものです。
ただ、この頃では、もう、私のコレクションの対象は主として古伊万里に向けられてきていて、朝鮮半島のものにはそれほど関心が無くなってきていたのですが、たまに、このような、手の届きそうな、味の良いものに遭遇しますと、ついつい手を出してしまったわけです(~_~;)
見てのとおり、ちょと小振りで、抹茶茶碗とするには小さ過ぎますし、口縁に窯疵もありますから、利用価値が低いため、売れ残っていたのでしょう。
でも、「李朝白磁」としてはなかなか良く焼けていますし、参考資料とするには良い材料になるな~と思って買ったわけです。
そのような、今回紹介しようとしている「李朝 白磁碗」というものは、次のようなものです。
李朝 白磁碗
正面(仮定)
大きさとしては小振りです。口縁に窯疵があります。
正面の反対面
見込み面
口縁に窯疵があります。
口縁の窯疵部分の拡大
裏面
高台部分
生 産 地 : 朝鮮半島
製作年代: 朝鮮王朝時代前期
サ イ ズ : 口径11.0~11.2cm(歪みがあるため) 底径5.1cm 高さ5.0~5.2cm(歪みがあるため)
もう一振り半小さければ、絶好のぐい吞みになった所です。左党には垂涎のまと、惜しい(^^;
ところで窯疵ですが、この部分だけ、釉薬が激しく流れています。ひょっとしたら、焼く前から何らかの疵が器胎にあって、それを補修するため白泥をさらに掛け加えたのかも知れません。
そうだとすると、大珍品ですね(^.^)
遅生さんもおっしゃる通りとろりとした白磁がとても良いですね(^^)
こういうものを見せて頂くと自分も一つだけでも欲しいなあと思ってしまいます。
ただ伊万里もですが私には白磁をあまり見てこなかったので難しいイメージがあります。(>_<)
でも、私の考えましたストーリーは次のようなものです。
陶工が、轆轤で引き上げ、乾燥させていましたら、なにかの弾みで、口縁部がポロリと半月状に欠けてしまいました(4枚目の写真上部部分のように)。
陶工は、勿体ないと思い、半月状に欠けた陶片を元の場所に貼り付け、その部分に分厚く白泥を掛けて焼成を試みました。
しかし、その願いも空しく、結局は、焼き上がった碗には窯疵が生じてしまい、また、その周辺には釉薬が激しく流れ、醜い姿になってしまいました。
朝鮮半島では、珍しくもない大きさであり、ありふれたものですから、疵もあり、醜い姿に出来上がってしまいましたので、価値もありませんから、どうせ売り物にはならないので、物原に廃棄しました。
それから数百年、或る日、窯跡を発掘する者が現われ、この碗を発見します。
発掘人は、幾ばくかでは売れると考え、街まで運び、売りに出しましたが、結局は高くは売れませんでした。
次に、それを買った者は、朝鮮半島では高くは売れないが、日本では高く売れそうだと考え、日本人にこれを売り捌きました。
それを買った日本人は、日本国内で売り出しましたが、結局は、日本では大きさが中途半端で、誰も相手にしてくれませんでした。
そんなことで、売れ残っているその碗を見つけた物好き者がそれを買ったということです。
しかし、やはり、大きさが中途半端で、これより一回り半大きければ抹茶茶碗になり、これより一回り半小さければぐい呑みに使えるわけですが、結局は、利用価値が無く、押入れの奥にと仕舞い込まれたという話です。
結局は、この碗にとっては、物好き者の押入れの中が終の棲家となったということです。チャン、チャン。
でも、教材にするなら、もっと安い陶片で十分ですね(^_^)
しかし、実用にしようとすれば実用にもなり得ますから、痛し痒しというところではありますね(^_^)
ただ、器の運命としては、客観的に見れば、↑ に記したようになるのでしょうね(笑)。
この様な白磁を見ていますと、白磁の中にも色があるなんて思ってしまいます。
この茶碗も、たっぷり白磁釉がかけられ表情がありますね。このような白磁の色合いは日本の白磁にあるのかな?なんて考えこみます。茶方が白磁と呼ばずに堅手と呼んだ何となくわかります。白磁の器は沢山ありますが、ぐい飲みになる大きさの物は少ない!茶碗になる大きさの物は、これまた少ない!少ないからほしくなる~李朝は面白いです。
不明白磁碗のストーリーが見事に展開されていますね。
Drは謙虚なのでこのような筋になるのでしょうが、真逆のストーリー(妄想)も可かと。どうせ、真実は誰にもわからないのですから、「胡蝶の夢」(酒田の人さん)にならって、「白磁の夢」(^.^)を見ましょう。
この手の白磁の杯(小碗)が、とんでもない値で骨董屋のウィンドウに並んでいるのを見た事があります(^.^)
高麗物は格式高く、近寄りがたいところがあるからでしょうか、、、?
そもそも、高麗物は庶民向けに作られたものではないので(?)、馴染めないのでしょうか、、、?
以前、padaさんのブログで教えていただいたのですが、朝鮮半島では、食器としては、この碗のサイズが普通なんでしたよね。
これよりも大きかったり、小さかったりするものは極めて少ないわけですよね。
日本人が好む、抹茶茶碗のサイズのものやぐい呑みのサイズのものは、もともと少ないので、日本では希少価値も加わり、高値になるのですね。
実は、この白磁碗のストーリーの後半部分は事実に基づくものなんです(~_~;)
私が買ったのは地元の骨董屋からだったのですが、その骨董屋は、その頃、仕入れのために、時々、韓国に行っていたのです。まっ、日本人バイヤーだったわけですね。
その骨董屋は、国外持出禁止品などを盛んに持出し、最後には見つかり、持ち出そうとした物は没収され、何日間か拘留されたようです。
この白磁碗は、そうして韓国からもたらされたものの一つだったんですね。
多分、この碗は、韓国では普通のありふれたサイズでもあったし、疵もあったので、古美術品とは扱われなかったので、検査にもパスして来日出来たのだと思います。
そんなことで、無事、日本に持ち帰れたものの、結局は、サイズが中途半端なために売れ残っていたものを物好きな私が買ったということなんです(~_~;)
そうですか。
「この手の白磁の杯(小碗)が、とんでもない値で骨董屋のウィンドウに並んでいるのを見た事があります(^.^)」か!
この白磁碗が、一回り半ほど小さかったら、私の自慢の杯になったのですね、、、。
世の中、そう、上手くはいきませんですね、、、。
nazonazo3さん好みですか(^_^)
ありがとうございます(^-^*)
なるほど、李朝物を、これまでの、抹茶茶碗やぐい呑みといった使用方法から脱した活用方法を考えるべきかもしれませんね。
キムチを盛ったり、飯茶碗にするというのも良い活用方法かもしれませんね(^-^*)