ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

フレンチ・ディスパッチザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊

2022-01-30 13:15:05 | は行

雑誌への愛がいいなあ。

 

「フレンチ・ディスパッチザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」72点★★★★

 

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20世紀、フランスの架空の街にある

『フレンチ・ディスパッチ』誌の編集部。

 

アメリカ生まれの名物編集長(ビル・マーレイ)のもと

政治からアート、ファッションに美食と

個性的な記者たちによるオリジナリティ溢れる記事で

購読者は50カ国50万人(!)の人気雑誌だ。

 

が、編集長が急死。

遺言によって、雑誌の廃刊が決まる。

 

最終号のために集められた

1つのレポートと、3つの記事とは――?

 

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ウェス・アンダーソン監督がフランスを舞台に

映画と雑誌への愛を詰め込んだ実写映画です。

 

そのままアートパッケージというか

ウェス・ワールドの完成度の高さ、ファンには特にたまらないでしょう。

ロケ地がアングレーム、っていうのも

漫画好きとしてはニヤリ。

そう「アングレーム国際漫画祭」を主催している場所です。

 

で、映画は

名物編集長が集めた

一癖も二癖もある才能豊かな記者たちが書く

記事が、1つのレポートと、3つのエピソードとして描かれる。

 

冒険家ふうの記者(オーソン・ウェルソン)は

自転車に乗って街めぐりのレポートを

 

アート界を知り尽くす記者(ティルダ・スウィントン)は

服役中の天才画家(ベニチオ・デル・トロ)と

看守(レア・セドゥ)の衝撃の物語を

 

政治と時代を追うジャーナリスト(フランシス・マクドーマンド)は

学生運動のリーダー(ティモシー・シャラメ)を取材し  

 

国を追われた記者(ジェフリー・ライト)は

ある美食レポートを書こうとして、思わぬ事件に巻き込まれていく――という話。

 

上記のほかエイドリアン・ブロディにシアーシャ・ローナン、

ウィレム・デフォーなどなど

ほんのちょい役にも

きゃあ!この人も!な、きらめきの俳優たちが登場し、

俳優図鑑としても楽しい。

 

ウェス・アンダーソン氏って

相当なオタクだし、ある意味、偏執的だと思うけど(そうじゃなきゃ、こんなアートは作れない)

人間度も相当に高いんだろうなと思う。

みんな本当に彼の作品に出るの、楽しそうだもんなー

 

ストーリー的には

アートを描いたエピソードが一番わかりやすいかな。

 

ワシはウェス作品では

やっぱりストップモーションアニメが好きなのですが

本作では

人の動きをストップさせて撮るシーンがあったりして

なんだか逆攻めの愉快さもありました。

 

プラス本作は

雑誌愛に溢れてるところが好き。

 

個性的な記者たちが、それぞれの分野を自在に取材し、書く。

イメージするは往年の『ザ・ニューヨーカー(The New Yorker)』。

いい時代だったんだろうなあ、とか遠い目になるけれど

いや、まだまだ希望は捨てたくないとも思う。

 

それにディスパッチ誌の表紙やポスターになってるイラストが

実に魅力的じゃありませんか。

描いているのは

Javi Aznarez という方のようで

インスタフォローしちゃいました。

 

★1/28(金)から全国で公開。

「フレンチ・ディスパッチザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」公式サイト


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