なにより99分という尺に
最高のリスペクトを感じるのです。



「ヒッチコック」74点★★★★




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1959年、
「北北西に進路を取れ」が大ヒットした
60歳のヒッチコック(アンソニー・ホプキンス)は
実在の大量殺人鬼の物語
「サイコ」に魅了される。

しかし陰惨な内容ゆえ、
映画会社はどこものってこない。

ヒッチコックは
信頼をよせる最大のパートナー
妻アルマ(ヘレン・ミレン)


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冒頭から人を喰ったようなユーモアがあり、
期待以上の感触で
おもしろかったです。

まずは
上映時間2時間3時間越えの
壮大な伝記などにせず
「サイコ」製作の話に的を絞ったセンスに拍手。


よき時代の映画は、みなだいたい90分だった。
そこにこそ、
往年の映画へのリスペクトが表れているじゃありませんか。


そして
ヒッチコック演じるアンソニー・ホプキンス。
ファーストシーンではさほど似てなく感じるのですが、
いやあどんどんヒッチコックその人にしか見えてこなくなって
不思議だなあ。

さらに
軽妙で笑える会話のおかしさ。
映画化候補の台本を持ち込まれたヒッチコックが
「ワシが『アンネの日記』を撮る?
屋根裏部屋に死体が隠されてると思われるぞ」とか(笑)


お話は
すでに名声を手に入れている巨匠が
「映画を撮るワクワクをもう一度味わいたい

周囲は大反対のなか
自己資金で「サイコ」を撮り始めるというもの。

そんな彼を長年支えてきた
妻アルマの小さな反抗が
現実でのサスペンスとなって盛り込まれる趣向で、
「巨匠の陰には偉大なるサポーターがいるのだ」と
改めてわかり、アルマさんに敬意を捧げたくなります。


スカヨハがジャネット・リーを演じたりと
いろいろ豪華で見どころがありますが
一番びっくりするのは
アンソニー・パーキンスを演じる
ジェームズ・ダーシー!


映画好きなら3倍、5倍楽しめる映画だと思います。

プレスの表紙もよかったなー。

ちなみに。
おなじみ『週刊朝日』ツウの一見で
手塚眞さんにお話を伺ったところ


正直
ヒッチコキアン(ヒッチコックの熱烈ファン)にとって
すごい「新ネタ」はないんだそう。

でも
ヒッチコックの名前と映画くらいしか知らない人には
よりいっそう楽しめるはず、とのことでした。
本当に同感でございます。
詳しい話は4/2発売号(だと思う)に掲載。


ヒッチコックと手塚治虫氏の類似性についても言及されています。
どうぞお手にとってみてください。


★4/5(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。
「ヒッチコック」公式サイト