最近、映画の公開数も増え、
より注目されてる北欧。
なかでも、この「ノーマ」は
北欧ツウも含め、誰もが話題にしていました。
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「ノーマ、世界を変える料理」72点★★★★
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デンマーク出身の
カリスマシェフ、レネ・レゼビ氏(38歳)の
ドキュメンタリーです。
彼はかの「エル・ブリ」出身で
デンマークだけでなく北欧料理に革命をもたらした
すごい人。
彼のレストラン「ノーマ」は
「世界ベストレストラン50」の第1位に4回も輝いてる。
昨年は日本で1ヶ月だけ「ノーマ東京」をオープンして
大人気となったそうです。
しかし、そんな頂点の影には事件もあった。
フランス出身のピエール・デュシャン監督は
4年間、レネ氏に密着し
「いったい、何がそんなにカリスマなのか?」を
探っていきます。
その映像は見栄え良く、
スタイリッシュでカッコいい。
料理の一皿を
アーティスティックに切り取るテクも素敵ですが
かつ
ちゃんと「美味しそう」なのが
大事なポイントです。
レネ氏の料理は
蟻(アリンコね)がのっていたり(!)
血を発酵させたものだったり(!)
相当変わっていて
盛り付けもアッ!と驚かせるものなんですが、
エル・ブリのように人工的なイメージがなく
有機的で
「食べ物」を感じさせる。
北欧の豊かな森の恵みや、海の恵みが伝わってくるので
カッコだけじゃなくて、
ちゃんと味覚に訴えてくるんですね。
料理ドキュメンタリーでは
その味を、映像から想像するしかないので
これはとても大切なことだと思います。
さらに、
そんなカリスマシェフ・レネ氏が
マケドニア(旧ユーゴスラビア)からデンマークに渡った
イスラム系移民であること、
それによってどれだけの差別を受けたか・・・など
その出自もしっかり語られる。
さらに、世界一のレストランから
陥落した顛末なども盛り込まれ、
想像よりドラマが詰まっていて
おもしろかったです。
さまざまな苦難を乗り越えてきた
レネ氏が言う
「うまくいかないときでも、
嵐はいずれ過ぎ去る。必ず何とかなる」が胸にしみました。
少し勇気もらえたかな。
ちなみに。
おなじみ「週刊朝日」ツウの一見で
レネ氏とも親しいコラムニスト中村孝則さんに
取材をさせていただきまして
最も気になった
アリンコを使う料理の意味を聞いたのですが
蟻には独特の酸味があり、
最初に使ったのは、おそらく
ブラジルのアレックス・アタラというシェフだそう。
彼のアマゾンの蟻を使った料理は
レモングラスの風味がぶわっ!とするほどだったそう。
また「環境」を考えさせる
メッセージ性もあるのでは、とのことでした。
なーる。謎が解けた~
★4/29(金)から新宿シネマカリテほか全国順次公開。
「ノーマ、世界を変える料理」公式サイト
さらにちなみに。
2006年から、10年にわたって連載してきた
『週刊朝日』「ツウの一見」ですが4/29号を持ちまして
終了することになりました。
映画を各界の専門家や
その道の“ツウ”の視点で語っていただく試みは
ワシのライフワークともなっていたので
終了は残念ではありますが
今後も
「映画を切り口に、社会を探る」をテーマに掲げ、
がんばっていきたいと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします!
『週刊朝日』の映画欄では発売中の5/6-13号から
「今週のもう1本」という小コラムを書かせていただいております。
ご参考になれば幸いです。