「アンナと過ごした4日間」は
すっげ好きなんですけどねー。
「エッセンシャル・キリング」56点★★★
アフガニスタンの砂漠地帯。
一人、洞窟に潜んでいた
アラブ兵士ムハマンド(ヴィンセント・ギャロ)は
偵察にきたアメリカ兵と対戦し
捕虜になってしまう。
だが、護送車で移送される途中にアクシデントが起き、
彼は車の外に飛び出し、脱走を図る。
が、そこは一面の銀世界だった――。
慣れない雪に足を取られながら、
ムハマンドの決死の逃走劇が始まった――!
前作「アンナと過ごした4日間」(2008年)で
世界を沸かせた
ポーランドの巨匠イエジー・スコリモスフキの新作です。
ヴィンセント・ギャロが83分間、
セリフなしで
雪の山中をひたすら逃げ続ける映画で、
砂漠から一転して雪山、という
転換のおもしろさや、
ひたすらに走る、食べる、殺す!といった
人間の本能がむき出されるさま、
自然のなかでの動物との邂逅など、
時間をおいて思い返すと
哲学性を秘めた、深遠さが確かにある……気がする。
というのも正直、見た直後は
山中に放たれた殺人鬼にしか見えなかった(苦笑)
しかも
「怒濤のノンストップ・アクション!」という宣伝文句もあって
シンプルゆえに“凝り”が必要な
究極シチュエーションスリラーかと思ってたので、
うーん、ただ山中を逃げ続けるだけかーと
物足りなかった。
「セリフを一切排し」なのも
話す必然性がないからで、ちょっと煽りすぎ。
まさに
タイトルの「本質的な殺害行為」
そのまんまの83分をどうとらえるか、ですね。
時間を置いて、こんなシーンを写真で見ると
ジワジワとなんか効いてきますわ。
★7/30から渋谷シアターイメージフォーラムで公開。ほか全国順次公開。
「エッセンシャル・キリング」公式サイト