モノクロの美しい画面の
その余白に、神がいるような。


「イーダ」75点★★★★




*****************************
1962年、ポーランド。
修道院で育てられた
孤児のアンナ(アガタ・チュシェブホフスカ)は

修道女になる儀式の前に、叔母がいることを知らされる。

初めて外の世界に出て
叔母(アガタ・クレシャ)に会ったアンナは

叔母から自分がユダヤ人であること、本名はイーダであることを知らされる。
そしてイーダは自分の出生を探る旅に出るが――?!

*****************************
アンジェイ・ワイダ監督、ロマン・ポランスキー監督など
名だたる映画人を輩出してきたポーランドから
また才能が出現。

1957年生まれのパヴェウ・バヴリコフスキ監督による
モノクロで撮られた
とても美しく、うまい映画です。


なんといっても
画面下方に大胆に配された人物のカットが美しい。


物理的なその上部の余白に、
おそらく神がいるのだろうな。

大胆な省略が多くを物語る、
80分の時間も美しい。


コルトレーンの音楽も印象的で
決して「教育的」な映画じゃない。

それでも、より深くを知りたくなる気に
させるんですよねえ。

ポーランドの歴史は複雑で、勉強の余地ありなのですが

この映画にあるように
ポーランド人たちのなかに“反ユダヤ”の意識が確かに存在し、
ナチスドイツの指示だとかとは無関係に
一般のポーランド人がユダヤ人を殺してしまったという

負の歴史があるそうです。

そしてポーランド人はいまでも
ユダヤ人に対して自分たちがした罪について、
語りたがらないのだそう。

この映画は
ミステリアスかつ、ロマンチックさも持ちながら

その淡々とした美しさのなかに
一度起こった悲劇の爪痕の消えないさまを
しっかり刻んでいる。

無垢なるイーダの目を通した
ポーランド人たちへの静かなる戒めであり、
そうした歴史を我々にも知らせる意味もあるのですね。

ラスト
「神なき世界」への諦観ではなく
「神への怒り」が、
イーダのあの行動として、形を取るのかなとワシは感じました。

イーダ役のアガタ・チュシェブホフスカは
ワルシャワのカフェにいたところをスカウトされて、
初の映画出演となったとのこと。


その小さな裸足の足が
子鹿のようにつぶらな黒目がちの瞳が、
後々まで胸に刻まれそう。

本人は今後「映画監督」方面を目指すらしいですが
行く末が恐ろしい・・・



★8/2(土)からシアター イメージフォーラムで公開。ほか全国順次公開。
「イーダ」公式サイト