これは本当に圧倒されました!
「抵抗 死刑囚の手記より」90点★★★
岩波ホールがこの2月から
過去の名作を上映する
「岩波ホールセレクション」。
↓
その第二弾として3/20から上映される
1956年制作のフランス映画です。
1943年、ドイツ占領下のフランスで
レジスタンス活動をして投獄された若き青年が
慎重かつ周到な計画と、ギリギリの精神力で
脱獄を試みる、という話。
脱獄モノはいつの時代もハラハラさせられる題材ですが
いや、これほど息をのみ
心臓をバクバクになった映画もありません。
しかし
ロベール・ブレッソン監督の手法は実にシンプルで
場面はほぼ狭い独房内と
1日数分だけ彼が出られる中庭のシーンのみ。
その限られたエリアのなかで
地道に脱獄計画を実行する主人公に
カメラは密着し
その様子をじっと写している。
端正な顔をした主人公の
アップを多様して緊張感を盛り上げ
無音の静けさで臨場感を盛り上げ
主人公の息づかいと、気力の限界を
そのままに映し出してきます。
そしてもうこれは
プレス資料にある映画評論家・佐藤忠男さんの解説が
“神”なので、引用させていただいちゃいますが
「(囚人の)青年が自分で知ることができるもの以外は
いっさい撮らないのである。
(中略)これが恐るべき効果を生む」
つまり青年が床をカリカリやっているときに
外で物音がする。
で、青年も、観客も固まる。
そこで、看守が歩いてくるような
カットを挟むことをせず
音がやむまで、主人公と我々を固まったままに
させておくんです。
で、音がしなくなると
青年は、おもむろにカリカリやりだし
我々もまた、ホッと胸をなでおろす。
カメラが主人公が実際に見ることができる
知ることのできる情報しか写さないことで
観客は本当に
独房にいる主人公自身になったかのような気分になり
「結果、いま体験していることの
かけがえのない貴重さが増すのである」(by.佐藤忠男)
ということです。
わずか97分を永遠に感じることが
すなわちとてつもない充足感につながる。
こういう感覚が
まさに映画の至福ではないでしょうか。
試写終了後、
隣の席の60代とおぼしき男女は
「うーむ・・・」「・・・すごかったわね・・・」と言ったきり
固まったまま
立ち上がろうとしませんでした。
ぜひ、体験してください。
★3/20~4/16まで岩波ホールで公開。ほか全国順次公開。
「抵抗 死刑囚の手記より」公式サイト
第一弾(2/20~3/19上映)の
「海の沈黙」も
ジャン=ピエール・メルヴィル監督の伝説的な処女作。
今後、この上映ラインナップは注目ですね。
「抵抗 死刑囚の手記より」90点★★★
岩波ホールがこの2月から
過去の名作を上映する
「岩波ホールセレクション」。
↓
その第二弾として3/20から上映される
1956年制作のフランス映画です。
1943年、ドイツ占領下のフランスで
レジスタンス活動をして投獄された若き青年が
慎重かつ周到な計画と、ギリギリの精神力で
脱獄を試みる、という話。
脱獄モノはいつの時代もハラハラさせられる題材ですが
いや、これほど息をのみ
心臓をバクバクになった映画もありません。
しかし
ロベール・ブレッソン監督の手法は実にシンプルで
場面はほぼ狭い独房内と
1日数分だけ彼が出られる中庭のシーンのみ。
その限られたエリアのなかで
地道に脱獄計画を実行する主人公に
カメラは密着し
その様子をじっと写している。
端正な顔をした主人公の
アップを多様して緊張感を盛り上げ
無音の静けさで臨場感を盛り上げ
主人公の息づかいと、気力の限界を
そのままに映し出してきます。
そしてもうこれは
プレス資料にある映画評論家・佐藤忠男さんの解説が
“神”なので、引用させていただいちゃいますが
「(囚人の)青年が自分で知ることができるもの以外は
いっさい撮らないのである。
(中略)これが恐るべき効果を生む」
つまり青年が床をカリカリやっているときに
外で物音がする。
で、青年も、観客も固まる。
そこで、看守が歩いてくるような
カットを挟むことをせず
音がやむまで、主人公と我々を固まったままに
させておくんです。
で、音がしなくなると
青年は、おもむろにカリカリやりだし
我々もまた、ホッと胸をなでおろす。
カメラが主人公が実際に見ることができる
知ることのできる情報しか写さないことで
観客は本当に
独房にいる主人公自身になったかのような気分になり
「結果、いま体験していることの
かけがえのない貴重さが増すのである」(by.佐藤忠男)
ということです。
わずか97分を永遠に感じることが
すなわちとてつもない充足感につながる。
こういう感覚が
まさに映画の至福ではないでしょうか。
試写終了後、
隣の席の60代とおぼしき男女は
「うーむ・・・」「・・・すごかったわね・・・」と言ったきり
固まったまま
立ち上がろうとしませんでした。
ぜひ、体験してください。
★3/20~4/16まで岩波ホールで公開。ほか全国順次公開。
「抵抗 死刑囚の手記より」公式サイト
第一弾(2/20~3/19上映)の
「海の沈黙」も
ジャン=ピエール・メルヴィル監督の伝説的な処女作。
今後、この上映ラインナップは注目ですね。